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鎌倉R計画|よみがえった「森の図書室」(前編)

施工事例

2020.12.22

「鎌倉R計画」は「鎌倉R不動産」の建築部門が過去に施工を行った事例集です。今回は、2020年1月にリノベーション工事が完了し、現在は定額で日本全国に住み放題という住宅のサブスクリプションサービスを展開する「ADDress」の鎌倉の拠点となっている「森の図書室」の事例を全2回に分けてお送りします。

鎌倉R計画|よみがえった「森の図書室」(前編)
「ADDress」の拠点として生まれ変わった「森の図書室」|(写真:八幡 宏)

「鎌倉R不動産」のサイト掲載時のタイトルは「森の図書室」。この物件は、北鎌倉駅から徒歩3分といっても、まず階段を100段登り、その階段は途中から山道という、森の中にある物件でした。
登り切ったところに待ち構えているのは、ケヤキの大木や、スギ、果樹やツバキ、サクラなどが生い茂る、まさに森に囲まれた建物。南斜面には竹が林立していて、その先にJR横須賀線の電車が通るのが見えます。ただし、よくいえば鎌倉らしいしっとりとした空間。悪くいえば湿っぽいジメジメとしたところだったのです。

鎌倉R計画|よみがえった「森の図書室」(前編)
物件まで至る道(途中からほぼ山道です)
鎌倉R計画|よみがえった「森の図書室」(前編)
建物全体

昭和29年に建てられた棟は、片流れの大屋根で3層のスキップフロアになっており、縦に広がる心地よい空間であったことがうかがえます。その棟から小さな増築を重ね、東西に6つの棟を連ねた特徴的な建物となっていったのです。著名な考古学者が前オーナーで、その増築された各室内には丈夫なラワン無垢材の本棚が所狭しと並んでおり、それがタイトルに「図書室」とつけた所以でもあります。

建物の持つポテンシャルは十分にありそうで、かつ借地権付きの建物であったため(借地権付きの建物の場合、建物の新築は基本的には難しいのです)、改装ありきで多くの方が内見をされていました。
ですが、実際に建物の中に入ってみると、空き家の期間が長かったこともあり、床が抜けているところがあったり、建物自体に危なっかしい個所が多く見受けられ、全体を修繕して快適な空間にするまで改修工事を行うとなると、工事のボリュームがかなり大きく、一般の方ではなかなか手が出しづらい物件であったのです。

鎌倉R計画|よみがえった「森の図書室」(前編)
モリモリとした緑が生い茂る庭部分

そんなとき、この物件に目を付けたのが、現在の所有者である「ADDress」でした。「ADDress(株式会社アドレス)」は日本各地で運営する拠点(家)に、会員が月会費を支払うことで定額で住めるサービスを提供する法人で、ちょうど鎌倉にも拠点を探していたところ。住宅のサブスクリプションという日本では新しいサービスを展開するにあたり、鎌倉で目玉となる物件を探していたのです。

鎌倉R計画|よみがえった「森の図書室」(前編)
ジメジメした感じの建物内
鎌倉R計画|よみがえった「森の図書室」(前編)
暗い感じがしていました
鎌倉R計画|よみがえった「森の図書室」(前編)
以前の入口付近。これがどのように生まれ変わったのか

何度かの内見、建築工事の打ち合わせ、資金調達など仲介はなかなかタフだった、と当時を振り返る仲介担当者。物件の売買契約と同時に、借地の賃貸借契約を結び直し、かつ建物の改装と用途変更についても地主の了解を得なくてはならない、という一筋縄ではいかない契約でしたが、いくつものハードルを乗り越えて、無事お引渡しとなったのです。

(後編に続きます)