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移住者インタビュー / 角田たまきさん「地域のコミュニティーの中心地に。笑顔が連鎖する場を作りたい」

移住者の声

2021.10.12

山形暮らしを楽しむ#山形移住者インタビューのシリーズ。今回は山形市七日町でネイルやアイブロウ、アイラッシュの施術を行なうパーツビューティーサロン「HOLIC」へ。

特徴のある青い壁にガラス張りの扉。外の壁には「HOLIC」とだけ書かれていて、一見すると何屋さんなのかがわからない。十字路の角にお店があるから、信号で止まった人は「ここはなんだろう?」とつい気になってしまう。「それが狙いなんです」と店主の角田たまきさん。気になった人が自ら何のお店かを調べることで、訪れる前から愛着が湧いたり、目的のひとつになり得るのだとか。ネイル、アイラッシュ、アーユルヴェーダの一種で山形県初となる「ネトラバスティ(目の温泉)」が行なえるサロンとしてスタートし、そこに眉毛を整えるアイブロウとフェイシャルケアも加わった。今年オープンしてから7年目に入り、新たな取り組みにも挑戦中と話す角田さんの半生を伺った。

移住者インタビュー / 角田たまきさん「地域のコミュニティーの中心地に。笑顔が連鎖する場を作りたい」
ノーファンデで過ごすことが多いという角田さん。白くツヤのある肌が印象的だ。

お客様の感謝の気持ちが
何よりうれしい!

お店がある七日町は、ほぼ地元。実家が旅篭町なので、幼い頃から親しみのある場所です。自分のお店を出したいと考えたときに、やっぱりこの辺りがいいなと思って探しました。物件が決まってから山形に戻ってきたので、Uターンしてからは7年になります。高校生まで山形市で過ごし、大学で上京。東京で5年、そのあと一旦山形に帰ってきてから関西へ。神戸と大阪に合わせて7年ほどいました。

東京の大学に行ったのですが、おもしろいと思えなくて1年で辞めてしまって…。以前から興味があった美容の勉強をするために山野美容芸術短期大学に入り直し、そこで美容師の免許を取得。だけど髪の毛を切る仕事は、ピンとこなくて20代はプラプラしていたんです(笑)。OLもしたし、山形に戻ってきていた時期は県庁で嘱託の職員として働いたことも。いろんな経験をした結果、お客様と近い仕事が合っていることに気づいて、ネイルとまつ毛の施術を行なっている神戸のお店に再就職。今の仕事にたどり着くまでには、わりと回り道をしたようにも思います。

関西はお客様がサービスに対して求めるレベルが高いので苦労した部分もあります。でも私についてくださっていたお客さんもいたので、関西での独立も考えたのですが「ここで戻らなかったら一生後悔する」と思ったのと、当時山形にはこのようなサロンが少なかったのもあって、需要があるのではないかと思ったんです。

お店を始めてみて、山形の方はいいものを見極められる人が多いと感じています。都会はものが溢れすぎて、逆に何を手にしたらいいのかがわからなくなる。山形にはそれがない分、好きなものと嫌いなものをハッキリできるのではないでしょうか。“いいもの”はちゃんと認めてくれて、そこに対価を支払うことも当たり前に感じてくれている。しかもそこには「ありがとう」という気持ちを込めてくださっている人が多いように思うんですね。施術したあとにお客様の感謝の気持ちが伝わってくるから、私もうれしくって。

都会にはこういったサロンがたくさんあるから、特別感が少ないのかもしれないとも思っていて。うちのサロンに来てくださる方々は「来るのを楽しみに一週間過ごしていました」と言ってくださるので、施術する1時間を私も大切な時間として捉えています。

「笑顔が連鎖する場にする」がモットー

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「困っている人はほっとけないタイプ」だそう。それが仕事に反映されている。

美容の施術は見た目を美しく変えるだけではなく、会話からストレスを抜いてあげると結果がまったく違うんです。話をすることで、リラックスできれば肌の色もよくなるし、むくみもとれます。とくに今はコミュニケーションを取ることが難しくなっているから、余計に私のような仕事は重要なんだと思うんです。

施術するときには、その方の背景まで考えます。こういう仕事をしているから肌が荒れているんだな、そのことが原因で思い悩みすぎて顔に出たているんだな、とか。とくにアトピーの方は繊細な人が多いので、ストレスも溜めやすくなってしまうんでしょうね。大雑把そうな方は顔もゴシゴシ洗うんだろうなと想像して、そこから改善していってあげたりも。

首から上のような人から見える場所に出る湿疹は精神的なSOSとも言われていて、気づいてほしいという信号なんですって。肌荒れは心因的なことも多いから、話をすることはとても大事なんです。

フェイシャル以外のまつ毛や眉毛の施術でも顔を触るので、疲れているときはすぐわかる。声をかけると悩みを吐き出してくださることが多くて、そうするとどうしてもなんとかしてあげたくなっちゃいます。

うちは、笑顔が連鎖する場にしようがモットー。地元の人たちの誇りになるような店が目標です。店に来ていただいたら、なにかひとつ「来てよかった」と思える情報を持って帰っていただけるような接客を心がけています。また悩みができたときには「HOLICに聞けばいい情報があるかも」という存在になりたい。美容と関係ないことでもいいんです。おいしい店を教えてほしいとか、いい旅館はとか、空いている土地はとか(笑)。実際、お客様がポロっと情報を話してくださるので山形のことはけっこう知っていると思いますよ。

仕事で気持ちを張り詰めすぎると、私も疲れることはあります。そのときは近所の馴染みの店に行っておいしいお酒とごはんをいただく。山形は何を食べてもおいしいからありがたいです。美しさは健康であることも重要。それを私自身で実証していきたいですね。

30歳を前に医大受験に挑んだ

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私が誰かの役に立つ仕事をしたいと考えるようになったのは、父親の影響が大きいんだと思います。父は開業医でした。私が小学校6年生のときに亡くなったのですが、患者さんから、街の人から頼りにされている姿はずっと心に残っています。

子供ながらに病院を継ぐものと思っていたけれど、あまりにも突然亡くなってしまったのでそのタイミングを失ってしまって。でも、継がなかったことがずっと心残りでした。

自分は本当に継がなくてよかったのか、人のためになることをしなくちゃいけないんじゃないかと悶々としていたんですね。それで30歳になる前に1年頑張って勉強をして、医大を受験。結果はダメだったんですが、やっと気持ちが吹っ切れて「美容の道に進もう」って決意したんです。あの時にチャレンジしていなければ、きっと今でもウジウジしていただろうし、過去の自分を責めていたかもしれません。前に進むために大切な挑戦だったと思います。

勉強をしている期間に大阪にある再生医療の大学病院で働いていたことも、今の仕事に大きく影響しています。再生医療は美容でもキャッチーなので、あのときの経験はすべてプラスに働いていると改めて思いますね。

肌を改善するときに皮膚科ではできない部分をケアしてあげられるのが私の強み。病院では表面のみの診断ですが、うちでは一人ひとりの話を聞いて、未来を見据えたケアをしています。これは私にしかできないこと。病院にはできない方法で肌の改善に導いてあげられると自負しています。

地域のコミュニティーの中心になる場所を作りたい

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看板犬のちくわ。人懐っこくて穏やかな性格。

フェイシャルケアをするときには、背中からほぐします。顔のたるみや肌荒れは、背中のコリも影響していると言われているからです。といっても体をほぐすことに関しては専門ではなかったので、今年になってからマッサージの勉強を開始。新たに資格を取得するつもりです。

コロナ以前は、3か月休まず働いて10日間どこか旅行へという生活をしていました。その楽しみが急になくなり、気づいたら仕事ばかり。これは今まで旅で培ってきたものをアウトプットする時期なんだと思い直して、今年初めてスタッフ育成を手がけました。そして4月に2号店をオープン。まだ仮の部屋という感じなので、来年にはもう少し大きくすることも計画中。周りの方を巻き込んでワクワクしていただける企画を開催したり、私自身食べることが美容の一貫なので、食の要素も取り入れていきたい。今以上に地域のコミュニティーの中心になれるような場になれたらいいなと考えています。

写真:伊藤美香子
取材・文:中山夏美

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