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山形移住者インタビュー/吉田あゆ美さん・作家 yoyoyo

移住者インタビュー

2022.06.21

#山形移住者インタビュー のシリーズ。今回のゲストは吉田あゆ美さんです。

埼玉県飯能市出身。宮城県南三陸町での仕事を経て地元に戻り、2015年2月に山形市に移住。その後仙台に引っ越して2年ほど暮らしたのち、2020年に再び山形市に戻ってきました。

2018年からは作家 yoyoyoとして刺繍を中心とした制作活動を開始し、アクセサリーやバック、小物などを制作、販売しています。吉田さんの作品はチャーミングであり、ふっと笑えるようなユーモアもあり。その独特の世界観の背景には、暮らしと制作がゆるやかにつながる山形ライフがありました。

山形移住者インタビュー/吉田あゆ美さん・作家 yoyoyo
吉田あゆ美さん。インタビューを実施したのは、七日町にあるnicoドーナツ。吉田さんが最初に移住してから約4年間働いた大切な場所。
やっぱり住むなら山形がいい

山形移住は思いがけない出来事でした。当時お付き合いしていた人が山形に引っ越すことになり、私もついて行くかたちで移住を決めたんです。先に住んでいた彼を訪ねて1度遊びに行ったくらいで山形のことはまったく知らなかったし、まっさらな気持ちで引っ越してきました。

最初に暮らしたのは、七日町の近くにあるシェアハウスです。移住して間もない頃、シェアハウスの住人仲間がnicoドーナツに連れてきてくれて、お店がちょうど人を探しているタイミングだったので働かせていただくことになりました。

山形移住者インタビュー/吉田あゆ美さん・作家 yoyoyo
nicoドーナツは体に優しくシンプルな味わい。

最初は仕事と家との往復だったのですが、この場所をきっかけに少しづつ出会いが生まれていきました。そのひとつが、お花屋さん「hana」の齋藤裕香子さん。nicoドーナツ内でポップアップショップを開いていて話すようになり、いまではhanaのお店に通って仲良くさせていただいています。裕香子さんにはおもしろい場所に連れ出してもらったりお店を紹介してもらったりして、人の輪が少しづつ広がっていきました。

2018年には仕事の関係で一度仙台に引っ越したのですが、コロナを機にまた山形に戻ってきました。仙台に住んでいるときに緊急事態宣言が出て、山形に遊びに行くこともできず落ち込んでしまって。友達や人の繋がりが山形にできてしまっていたんですよね。アパートの更新時期も相まって「やっぱり住むなら山形がいいな」と思い、仕事も変えて帰ってきました。

山形移住者インタビュー/吉田あゆ美さん・作家 yoyoyo
「いいお店にはいい人がいて、いい繋がりが生まれていく。まずは好きなお店をひとつ見つけて通うことが、まちを楽しむきっかけになる気がします。山形にはいいお店がいっぱいありますよ!」(吉田さん)
日常に小さな驚きがあるまち

山形に戻ってきてから結婚して、いまは夫と2人で暮らしています。七日町の近くに住んでいて、職場も七日町です。飲食店が多くて、徒歩圏内で必要なものがなんでも揃うし、住む・働く・遊ぶの全部が近くにあるから暮らしやすい環境です。

車がないこともあって2人でよくまちを歩くのですが、毎日のように発見があって楽しいですね。山形って山が大きく見えるんですよ。毎日見ているのになぜか全然飽きなくて、いつ見ても「わっ」ってビックリします。地元にも山はたくさんあったけど、見え方がまったく違うんですよね。ここはまちと山との距離がすごく近くて都市型の生活をしているのに、視界には山がドン!と鎮座していて、そのコントラストがおもしろいんです。

他にも日常の中に小さな感激がいっぱいあります。近所のお店で何気なく食べたものがおいしかったり、ものづくりが得意なおばあちゃんと出会ったり、ギターが上手いおじいちゃんがいたりして、「うまっ!」「すごっ!」って、いちいちビックリすることが多いというか。とにかく歩いているだけで楽しいまちです。

山形移住者インタビュー/吉田あゆ美さん・作家 yoyoyo
吉田さんのお気に入りスポットは「霞城セントラル」。「展望台からまちを見渡せて、視界が広がり気持ちが落ち着きます。山も好きだけど海も好きで、あの景色を見ているとまるで海を見ているような気分になるんです」。山を見て海を見る、という吉田さんの感性。
チャレンジしやすい土壌

2018年からは「yoyoyo」という名前で制作を始めました。きっかけは知り合いの作家さんの作品づくりで刺繍のお手伝いをしたこと。もともと趣味で染色や洋服をつくっていたのですが、刺繍をやってみたら手元で少しづつ作業をするのが自分の性に合っているなぁと気づいたんです。

飽き性なので続くかなぁ?と思いながらやっていたら、hanaの裕香子さんが「今度イベントをやるから、一緒に出品したらどう?」と声をかけてくれました。「自分がつくったものがお金になるんだぁ」という嬉しさもあり、「そんな簡単に出せるんだ」という驚きの感情もありました。

その後も「シネマ通りマルシェ」に出店することになったり、「BOTA Coffee」の二階にあるスペースでポップアップショップを開いたりと、イベントという目標をつくることでモチベーションが維持できて、徐々に制作のペースを掴んできたという感じです。

山形移住者インタビュー/吉田あゆ美さん・作家 yoyoyo

自分ひとりで完結していた趣味から、商品や作品として販売できるまでにシフトしていけたのは、知り合いの人がお店をやっていたり、気軽に出店できるマルシェが開催されていたりと、チャレンジするきっかけがたくさんあったから。 自分の中では販売なんてすごくハードルが高いものだと思っていたけど、ものづくりを始めたら次のステップにポンポンと進んでいって、自然と道が開けていきました。

奇妙でかわいいyoyoyoの世界

名前の由来は、吉田の「よ」でyoyoyoです。『ゲゲゲの鬼太郎』が好きなので、なんとなく音の響きで決めました。

嘘をつかず、無理をしないように、そのとき自分のつくりたいものを素直につくることを心がけています。売れそうなものをつくろうと意識すると、自分らしさが出せない気がして。自分の中でクスクスしたり、おもしろく思っているものを表現できるのが自分にとって一番いい状態なんです。

作品を見た人から「何これ?」「うわぁ、やばっ」と言われることがあって、私にとってはそれが褒め言葉だったりします。見ている人が「こんなヘンテコなのでもありなんだ」「気張らなくていいんだ」って思ってもらえたら嬉しいです。

山形移住者インタビュー/吉田あゆ美さん・作家 yoyoyo
yoyoyoの作品。どこか奇妙でチャーミング。このゆるい世界観に触れると、肩の力がスーッとぬけていくような感覚がある。写真提供:吉田さん

モチーフはそのときの自分のブームです。いまのブームはチューリップ。散歩しているときにお花屋さんで見かけて、「あ、かわいい」と思ってスケッチブックに描いてみて、それを刺繍して作品にしていくという流れです。

ときどき粘土作品をつくることもあります。粘土だと立体的な表現ができるから自分の頭の中をそのまま具現化しやすくて、おもしろいです。昔からETが好きで、なんだかよくわからないものに萌えるんですよね。この生き物に足を6本付けてみようとか。笑

山形移住者インタビュー/吉田あゆ美さん・作家 yoyoyo
yoyoyoの作品はオンラインで販売しているほか、山形市七日町の「nicoドーナツ」と寒河江市の「MISEカフェ」のほか、不定期で参加するイベントなどで販売している。

別の作家さんと一緒に制作することもあります。「イトトエ」は、画家でイラストレーターの吉田真理ちゃんとのユニット。真理ちゃんとは友達で、遊びの延長で「一緒にイベントしたら楽しいよね!」と盛り上がり、そのためになにかつくろうと話し合って刺繍と絵画の作品が生まれています。食器ブランドの「SANZOKU」さんも元々知り合いで、一緒にハンカチをつくらせてもらいました。

友達や知り合いの作家さんとコラボレーションできることも作家活動を続けていくモチベーションになっていて、今後も新しくなにか生み出していけたらいいなと思っています。

「なんとかなる」と思える場所

山形は私にとって“楽ちん”な場所かもしれません。いろんなことに対して「なんとかなりそう」って思えるんです。

いまでも作家活動を始めたときのように、なにかを思いついて人に話すと「こんな人がいるよ」と紹介してもらえたり、生活で困ったときにも「あそこへ行ってみたら?」「〇〇さんに聞いてみたら」と助けてもらえます。ポンポンっと物事が進んでいくスピード感があるんですよね。

今後は山形と実家がある埼玉を行き来する生活ができたらいいなと思っています。いまは長期休暇のタイミングでしか帰省できないので、頻繁に母に会いに行けるようにしたいんです。

目指しているのは仕事をしながら、制作活動を続けながらの2拠点生活。大変かもしれないし時間はかかるかもしれないけど、思ったことを宣言すれば道筋が見えてきて、いつか実現できるかもしれない。諦めずにいればなんとかなる。山形はそう思わせてくれる場所なんです。

取材・文:中島彩
撮影:伊藤美香子

備考

yoyoyo インスタグラム
https://www.instagram.com/p/CRgCofIL7bk/

オンラインショップ
https://zukanxxxx.theshop.jp/