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【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』

インタビュー
2025.11.12

「自分の住んでいる町が、楽しくなるといいな」今回のインタビュイーである建築家 植村康平さんが度々口にした言葉です。建築家でありながら、自分が住み・働く西山商店街を自分ごととして考え、挑戦する植村康平さん。11/24まで週末に開催される『なごや裏山芸術祭』に至った経緯や思い、今後やってみたいことを伺いました。

~11/24(祝・月)なごや裏山芸術祭

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
建築家 植村康平さん/植村康平建築設計事務所代表 一級建築士 ニシヤマナガヤ管理人 なごや裏山芸術祭2025実行委員会委員長 西山商店街振興組合副理事長

 

 

 

なごや裏山芸術祭の発起人「植村康平」さん

―なごや裏山芸術祭の発起人と伺いました。企画しようと思ったきっかけを伺ってもいいですか?

―もともと「NISHIYAMANAGAYA」を6年前につくって、1Fに焼菓子のお店、コーヒー屋、花屋、二階に自分の事務所を構えています。更に、1階の奥に、「未完美術館」という名のギャラリーを作って、アーティストや作家さんの展示会場としていたのですが、もっと利用率を上げたいなという思いがあり、何かできないかなと思って調べていたところ、アート活動に関する助成金の情報を見つけました。折角なら、地域を盛り上げられるような事で何かできるといいのかなと思い、周りの方々に相談して企画し、今回のイベント開催になりました。

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
NISHIYAMANAGAYA

 

―パンフレットに載っている実行委員の方々ですか? 

―そうです。皆さん「NISHIYAMANAGAYA」を作ったことで知り合ったメンバーで、アーティストのヤスダさん、ミュージシャンの小松さんは、実はパパ友でもあります。クリエイターの野村祐介さんは、自分の思いを話したところ、手伝ってくださるとお話くださって、パンフレットやサイトもかなりご協力いただきました。そして、星ヶ丘と西山の間に位置する椙山女学園大学の先生であり、商店街でも活動を共にする本先生にもご協力いただいています。

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』

 

 

 

他拠点で暮らすことで見えてきた名古屋の課題

―こうして取材している間も子供たちがいたり、お子さん連れのご家族がいたりと、周辺の人口は多そうに感じます。

―この近くにある西山小学校は名古屋でも児童数がかなり多い学校で、ある学年では5クラスもあるくらいです。周辺は、若い世代や転勤で住まれる方も多くて、土着の古いまちというよりは、比較的新しい文化を受け入れやすい空気にあります。

 

―聞く限りでは、あまりイベント事を行わなくても、まちは賑わっていそうな気がしますがどうですか?

―人は確かに多いです。けれど、僕自身は名古屋市の中心部に住んでいたこともあり感じるのが、久屋大通り、栄、名古屋など中心部にイベントが偏っていると感じることが多くて。アートや音楽とか文化をもっと気軽に身近に楽しめるイベントがあってもいいのではと思っています。それを色んなエリアで起こしていくことができれば、まちの在り方も変わるのではないかなと思っています。

 

―確かに。人がいること=賑わいではないですね。人と交わることで、新たな関係性が生まれたり、まちの歴史を知ることでまちへの誇りが生まれたり、住むことだけでなく+αができることが大事ですね。

―まちを維持するにはビジネス的視点でものごとを考えることも大事ですが、"楽しさ"を生む余白も重要だと思っています。今回の裏山芸術祭開催のきっかけになった「未完美術館」にはそんな役割も持たせています。利益を生む生まないに関わらず、人が面白い、楽しいと感じる場になって欲しいと思っています。

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
未完美術館

 

 

 

テーマ『こえる』に込められた3つの意味

―今回のイベントテーマは「こえる」ですが、こちらにはどんな意味が含まれますか?

―こえるには色んな意味が含まれるのですが、大きくは3つあります。

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』

①物理的な「山」を越えること

名古屋の中心地である栄を往来する際に「山を一つ越える」感覚があって、東山を一つ越えた山の裏側にある地域を指しています。この物理的な距離や地理的な障壁を超えて、様々な方が訪れるイベントにしたい思いを込めています。

 

②アートの敷居・ハードルを超えること

アートや美術館は、一般の方々にとって「神聖な場所」や「アートを勉強している方が行く場所だ」といった、高い垣根やイメージがあるように思います。この芸術祭は、地域の方が「気軽に立ち入れる」場所を提供することで、アートの世界は気軽に踏み込める場所となるよう、ハードルを低く設定し、「超えてきて」ほしいというメッセージが込められています。

 

③アーティスト自身の「限界」を超えること

参加するアーティストたちに対して、自分たちの「限界を超えて欲しい」というメッセージを込めています。この場所でしかできない、ユニークなものを表現して欲しいという思いですね。同時に、僕自身は、この芸術祭を通じて、活動の枠組みを「商店街の枠」を超えて飛び越えることを意識しています。

 

―自分たちも鼓舞しているのですね!まだ始まったばかりですが、次回の予定は決まっていますか?

―そうですね。一年に一回か二年に一回かいずれにしても定期的には行っていきたいと思っています。一つ困ったこととしては、これまで空き店舗を使って会場としてきたのですが、空き店舗がなくなってきていて。商店街全体としては嬉しいことですが、会場の確保は課題かなと思っています。

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
期間中、展示はもちろん、様々なアートイベントが開催されます。

 

 

 

建築家としての植村さんの思い

―植村さんは今回芸術祭の発起人で、企画もされています。建築家がこうした街に入っていくことは珍しいように思うのですが。

―建築家の方だと建物をつくることに興味関心がある方もいると思うのですが、僕自身は、ハードとソフトの部分両方を構築することに興味があります。西山商店街でお仕事をするようになって6年ですが、建物を建てて終わりということではなくて、「住まう人、暮らす人、過ごす人が、豊かな暮らしを送るにはどうしたらいいか?」を起点に、動線や人流を考えることにとても関心があります。

 

―今回の芸術祭もその一つですか?

 ―そうですね。僕の今後の夢にもなるのですが、西山商店街でやってきたことを活かして、他の商店街やエリアでも行えるといいなと思っています。建物での仕掛けや今回のフェスのようなソフトを他の商店街でも行いながら、まちを面白くすることを形にしていきたいですね。

もう一つ最近意識していることがあって、それは「終わり」をデザインすることです。
僕の地元である豊橋市の水上ビルは1960年代に建築され、60年近く経ち、老朽化 しています。仮にあと10年建物がもつとして、その10年をどう過ごすか?を建築家の方を中心にエリアの方々で議論しています。「建てる」ことには、「終わり」も必然的にあるので、その終わりも意識し、デザインすることをやってみたいと思っています。

 

―植村さんの建物のハードだけではなくソフトへの関心が、原動力になっているのですね。

―そうですね。あとは、まちに貢献したい思いもあって。僕が西山商店街に来て6年経って思うことは、まちの中に事務所を開いて良かったなということです。商店街の中に事務所を築いたことで、商店街の人との交流が生まれたのはもちろん、近隣の大学やコミュニティーとも繋がり、いい気づきや流れが生まれています。マンションの一室で行っていたら目にすることができなかった景色を見せてもらっていると思います。だからこそ、僕なりにまちに何か貢献したいのだと思います。

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西山商店街への思いを語る植村さん

 

 

取材を終えて・・・

ちょうど子供たちの下校時刻での取材だったのですが、「ただいまー」という声が響いたり、窓の外から手を振る子供に応えて、手を振り返す植村さんの姿から、ほのぼのとした気持ちになりました。体温を感じるコミュニケーションが西山商店街にあります。
植村さんの活動が、この雰囲気づくりにも一役買っているようにも思います。商店街は色んな価値観の方が集まるので、大変な部分もありますが、こうした温かい交流は、残していって欲しいと思います。

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
窓の外から手を振る子供に応えて、手を振り返す植村さん

 

 

 

『なごや裏山芸術祭』アート展示を少しだけご紹介!

建築家である植村さんが企画した『なごや裏山芸術祭』は、11/24(祝・月)まで。
いつも名駅・栄に行かれる方は、是非名古屋の裏側に足を踏み入れてみてはいかがでしょう?
取材時に見せていただいたアート展示を少しだけご紹介します。

【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
ヤスダキヨシ氏によるアート展示@未完成美術館
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中心に穴が空いていて、中を覗くと、、、何が見えるかは現地でごらんください。
【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
植物と記憶の部屋。これまでシェアハウスとして活用してきた「へへへのおへや」をアーティストたちが彩ります。
【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
冊本(SABON)。不要になったフライヤー、ポスターを再利用したアート。
【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
小澄源太氏によるアート展示。11/15にはここで和太鼓とコラボしたライブペイントが開催されます。
【名古屋市名東区 千種区】建築家 植村康平さんと地域住民が創る、ローカルフェス『なごや裏山芸術祭』
「暮らせる図書館」での小澄源太氏によるアート展示。こうしたまちの施設を気軽に見ることができるのもイベントの魅力の一つ。

屋号

植村康平建築設計事務所

URL

植村康平建築設計事務所
なごや裏山芸術祭

住所

愛知県名古屋市名東区西山本通2丁目23

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