real local 大阪【堺】かつて私は「若者・ばかもの・よそ者」であった|株式会社ユノカ・ラボ その1 | reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

【堺】かつて私は「若者・ばかもの・よそ者」であった|株式会社ユノカ・ラボ その1

インタビュー
2026.07.28

南海本線「七道」駅から徒歩約10分、堺市堺区南島(みなみじま)町。この地で大家業を営みながら、イベントの企画運営、さらにはナチュラル石鹸などのコスメやフードの製造販売まで手がけている『株式会社ユノカ・ラボ』代表の花井英典さん。たくさんの人と関わり、カルチャーを紡いできた花井さんによって育まれてきた南島は今、とても魅力的な場所になっています。今回は、花井さんの大家業スタートを振り返ります。

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花井さん主催の南島でのイベントの様子。賑わっています。

リノベーションと出会って、始まっていく

–まず、花井さんの大家業はどのように始まったのでしょうか。

大学時代は東京でサブカルチャー三昧の生活を送り、その後企業に就職したのですが、7年ほどで辞めて大阪に戻ってきました。実家がある南島町に帰ってみると、父が所有する古民家が1軒、文化住宅が2棟、長屋が13軒、それとマンションが1棟(のちに台風の影響で取り壊すことになるのですが)あって、どれも空室が目立つ状態だったんです。特に24戸ある文化住宅の1棟は、なんと17戸が空室でした。

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かつて、約7割の空室を抱えていた。

父は、全員が退去した後に新築マンションへ建て替えるつもりだと言う。でも、それには莫大なお金もかかるし、本当にそれが最適な方法なのか?と疑問でした。

そんなモヤモヤを抱えながらも、昔からサブカルチャーが好きだったこともあって、難波や中崎町のイベントの手伝いをしていました。そのなかで、中崎町の古民家DIYの現場を目撃したり、アートアンドクラフトの中谷ノボルさんから“リノベーション”という言葉を初めて聞いたりします。建物をただ綺麗にするのではなく、人や街に合わせて目的そのものを変えられることを、そこで初めて知ったんです。

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リノベーション長屋、工房「ユノカド」。花井さんの拠点です。
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あたりが暗くなると、大きな開口の魅力が際立ちます。

–東京から南島町に戻り、多くの空室を抱えていた不動産の現状を目の当たりにして、「まずは動いてみよう」と、当時の花井さんを突き動かしたモチベーションとは?

当時は東京から戻ってきたばかりで、南島町では完全に“よそ者”のような状態でしたから、特に誰からも何も頼まれないし、何もすることがない状態だったんです。30代半ばで、今さら再就職する気にもなれませんでした。モチベーションが何かあった、というよりは、「こうなれば、自分で自分の仕事を発注するしかない!」という一心だったと思います。

その結果として始まったのが、文化住宅リノベーションプロジェクトです。

とはいえ、最初は断られてばかりで。空室の目立つ文化住宅をどうにかしたいと建築士の方々に掛け合っても、「堺のこんな場所では事業性がとれない」と相手にされず、面白がってくれる人にはなかなか出会えませんでした。

それでも紆余曲折あってなんとか設計がスタートしましたが、予算の壁にも悩まされます。結果、予算内に収めるために建具を減らし、使える材はそのまま使う。そんな風にギリギリまで削ぎ落とし、極めてラフで、だからこそ自由度の高いリノベーション文化住宅『G-BOX』が出来上がりました。

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G-BOX室内。元の文化住宅が「瑞荘(みどりそう)」と呼ばれていたことから、緑(GREEN)のGを取って名付けた。
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GREENを象徴するのは、深緑の黒板塗装の壁。吹き抜けと、間仕切りの少ないラフな仕上がりは、リノベーションならではの味わい。

似たもの同士が集まり賑やかになっていく

G-BOXの記念すべき最初の入居者となってくれた方との出会いは、やはり中崎町での繋がりからでした。彼は趣味で家具のリペアをしていたのですが、作業時にどうしても音が出るため、周囲を気にせず作業ができる「住居兼アトリエ」を探していたんです。そこで彼にG-BOXを紹介したところ、すごく気に入ってくれて、早速入居が決まりました。

ところが、そのG-BOXでも作業音が響いて、隣の住民の方から苦情が来てしまって。「それなら、まだ未改装でボロボロだけど、近くの空き長屋を作業場として使ったらいいよ」と、長屋を一緒に貸し出すことにしたんです。

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左がその長屋。イベント時は会場となります。

–G-BOXは暮らす場所として、長屋はモノを作る場所として。南島というまちの中で、暮らしと仕事が緩やかに交わり始めた!借主のニーズに合わせた柔軟な発想が生んだ、理想的な職住近接の形ですね。

入居者2人目は、いまの私の活動拠点(ユノカド)のすぐお隣にある、「アカリ珈琲」の店主です。

紹介されて、東吉野村にある彼の実家へ初めて会いに行ったのですが、そのとき私、なんと保護したばかりの細身の犬を腕に抱いた状態だったんですよ。突然そんな人間が実家にやってきたのに不思議と意気投合して、その後、私たちは一緒に風呂にまで行くほどの仲になりました。

そこから「あの長屋でブックカフェを作りたい」「デザイン事務所にするのもいいな」「やっぱり喫茶店かな!」と、あれこれ妄想して盛り上がって。お互いにお金は全然なかったのですが、時間はたっぷりありましたから、「とりあえず、ちまちまとやってみようか」となったんです。彼、宮大工の修行を半年経験しただけだったのですが、主導して改修を進めてくれました。結局完成するまでに丸一年以上もかかってしまいましたが笑。

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アカリ珈琲。なんとも惹かれる佇まいです。
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室内には大きな焙煎機が。

–なんだか一癖あるけれども素敵な入居者が集まり始めている!

当時は、私も彼らも「若者」で、とりあえずやってみる「ばかもの」で、なおかつ南島にやってきた「よそ者」でしただからこそ、こんなふうに始まっていけたのかもしれません。

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不動産に対して、フラットかつ柔軟な思考で向き合ってきた花井さん。そんな花井さんだからこそ、おおらかな人々が自然に周りに集い、あたたかな場が出来上がっているのでしょう。次回は、花井さんが主催するイベント「南島バザール」や、南島町での今後の展望について詳しくお伺いします。

屋号

株式会社ユノカ・ラボ

URL

https://www.instagram.com/junocado/?hl=ja

住所

〒590-0904 大阪府堺市堺区南島町2丁59