冬明けの準備体操
地域情報
2026.06.26
東京に住んでいたときは日々が目まぐるしく過ぎていた。
最先端のモノや場所など、刺激に溢れた街だったが
そのスピードの早さに少し疲れていた頃だった。
そんなとき、思いがけず山形へ戻ることになる。
「何もない」と思っていた山形は、自然が豊かで恵まれた場所だった。
散歩の最中の植物。新鮮な野菜。変化する山の緑。
季節の移り変わりを感じる喜びと、
日常の小さな発見が楽しみになっていった。
毎年楽しみにしているのが、春の山菜の季節。
私にとって山菜を料理する時間は特別だ。
冬の間、寒さで固まった心と身体をほぐすような作業で、
一年の始まりを告げる準備体操になっている。
山菜料理は手間がかかる。
アクを抜く。筋を取る。煮込む。
山の恵みを頂くための儀式のようで、
私はその時間が大好きだ。
食べると瞬く間に消えてしまう量でも、想像以上に手間がかかっていたりする。
その一瞬の喜びを想像しながら手間ひまをかけるのもまた、醍醐味だ。
蕗を鍋で煮込む。
鍋を覗き込みながら、湯気を浴びる。
瞑想のような特別な時間を過ごす。
煮汁の音
艶めく蕗
湯気の熱気
出汁の香り
眠っていた細胞たちが
むくむくと目覚めだす。
芽吹きのエネルギーをたっぷりと溜め込んだ山菜の苦味が、身体中にじんわりと響く。
今年も春の恵みに感謝して、私の一年がスタートする。

今年はきゃらぶきを作ってみた。














