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【山形/連載】穏やかな休日のための音楽23

地域の連載

2022.11.26

「穏やかな休日のための音楽」では、毎回山形に縁のある南米のアーティストとそのアルバムを紹介しています。

モレーノ・ヴェローゾは、南米を代表する大歌手カエターノ・ヴェローゾの長男として1972年に生まれました。まさにブラジル音楽界のサラブレッドなのですが、9歳のときに父カエターノのアルバム『コーリス、ノーミス』に参加し、キャリアーをスタート。1991年にもカエターノのアルバム『シルクラドー』にも参加。大学では物理学を専攻したそうですが、その頃から後に盟友となる幼なじみのペドロ・サー(ギター)、カシン(ベース)、ドメニコ(ドラムス)らとリオのライヴ・シーンで活動を始めます。

1996年にはアート・リンゼイのバンド・メンバーとして初来日。2000年には、前述のドメニコ、カシンとのトリオ名義(モレーノ+2)でファースト・アルバム『マキナ・ヂ・エスクレヴェール・ムジカ』を発表。当時のブラジル新世代の旗手として大いに注目を集めました。

2001年にはその「モレーノ+2」で来日を果たし、その後も何回か来日をしています。2007年には「Fuji Rock」にも出演。2008年には、ブラジル現代美術展「Blooming:ブラジル – 日本 きみのいるところ(豊田市美術館)」に参加。同・美術館および東京でソロ・ライブを行ないました。

2007年にファースト・ソロ・アルバム『カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン』を発表。日本の音楽家との交流も深く、高野寛、小山田圭吾、嶺川貴子らとライヴや録音で共演。ギター、チェロ、パンデイロなどのパーカッションを演奏するマルチ・インストゥルメンタリストであり、ヴォーカリスト/作曲家/プロデューサーとしても活躍しています。

【山形/連載】穏やかな休日のための音楽23

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山形に来ていただいたのは2011年10月のソロ・ツアーでした。サウンド・エンジニアのイゴールくんが同行しましたが、二人ともヴェジタリアン。昨今外国人アーティストはヴェジタリアンが多くて主催者泣かせです。前日入りした二人を地元野菜の籠蒸しでおもてなし。多分喜んでいただいたのだと思います(笑)。

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公演の舞台は山寺風雅の国「馳走舎」。ギターと歌とパンデイロによる、シンプルで美しい公演でした。ライトアップした山寺を背に、途中モレーノが山寺の方向に祈りを捧げるなど、どこかスピリチュアルな空気が漂うライブでした。

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公演翌日はまず山寺に登り、その後は天童市高擶のそば「吉里吉里」に。吉里吉里の食事や店構えが大いに気に入って、最後は「女将を連れて帰る」、「僕はここに住むことにした」と言い出すモレーノでした。中学生のようにはしゃぐ二人でしたが、最後はギリギリに新幹線の時間に滑り込み。まあ、山形をそこそこ楽しんでいただけたのではないでしょうか。

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さて今回紹介するのは前述した「モレーノ+2」のデビュー・アルバムで、新世代ブラジル音楽の幕開けとなった歴史的傑作と言われる、2002年の『マキナ・ヂ・エスクレヴェール・ムジカ』です。マキナ・ヂ・エスクレヴェールとはポルトガル語でタイプライターの意味。カリオカらしい伝統に基づいたリラックスした音楽と、エレクトロニカや実験性を持ち込んだ先進的な音楽との、幅広い音楽性のミクスチャー・ミュージックです。今聴いても20年前の音楽とは思えない、新鮮な響きを持つアルバムです。穏やかな休日にぜひ聴いてみてください。

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