real local その他【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟

2015.07.24
【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
右が兄の耕造さん。左が弟の二朗さん。背景にある土塀はお二人作

読者の皆さんの中にも、「庭のあるお家に住みたい!」と思っている方は多いのではないだろうか。近年、関西でもグリーンのニーズは増えているというが、庭のある暮らしの魅力とは何なのか。大阪を拠点に活動する、庭づくり専門の会社「グリーンスペース」の代表であり造園家の辰己耕造さん、二朗さんにお話を伺った。

生まれも育ちも大阪の通称「辰己兄弟」は、もちろん実の兄弟。二人の地元では、小学校の頃はクラスの約7割が造園家の子どもだというほど、造園業は地場産業としてメジャーだった。家業の会社を引き継いだ当時は、ハウスメーカーから発注される外構工事の仕事が割合を占めていた。しかし、「お客さんの顔が見える仕事がしたい」という想いが強くなり、今から8年前に一念発起。庭づくりを専門に、直接受注する事業形態に切り替えた。

「庭とは、暮らしの中で四季の移ろいを身近に感じる時間を提供してくれる存在。毎日同じ庭を見ていても、その日だけすごくきれいに見える瞬間があります。また、木の葉が揺れると、『風が見えたり』もしますよね。そんなふうに、小さな気づきや発見ができて生活が楽しくなるような存在って必要だと思うんです」

「だからといって、庭は主役ではありません。生活の後ろにあって、豊かにしてくれる脇役。僕たちはそんな素敵な脇役をつくっていきたい」

【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
事務所のある大阪八尾市は造園業者が多く、庭をあちこちに見つけることができる。金沢出身スタッフの中山智憲さん(左側)と3人ですべての仕事を行う
【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
作業中はいつもこんなスタイル。「藍染めの紺色は庭師の色。ズボンは乗馬ズボン。服装はアイデンティティーや職業に対する誇りの表れだと思うので大事にしたいです」

家づくりの初期段階から関わり、庭空間を活かしたプランを建築家と共につくり上げることも多い。プランニングからデザイン、実際の庭づくりから管理・メンテナンスまで一貫して自分たちで行う。分業をせずに最初から最後まで、自らがお客さんと関わるのは彼らのこだわりである。

【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
2人がつくる庭は、園芸と造園をミックスさせたような点が特徴的。異なる何種類かの木を植えることで、四季の移り変わりを感じられる空間づくりを心掛けている(「安城の家」/建築設計 SUPPOSE DESHIGN OFFICE)
【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
木が成長すると共に、庭も家も変化していく(「安城の家」より)
【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
「庭はどんどん変化していくので、2〜3年経った後の手入れこそが庭師の醍醐味。これまでは現状維持が一般的な庭の考え方だった。でも僕たちは、育てて、伸ばしていく。形を毎回変えていく」(左)「宝塚の家」(右上)「茨木の家」(右下)「浜寺公園の家」/建築設計:一級建築士事務所NRM

だが一方で、昨今、庭そのものが減少するという問題に直面している。

「元々都会は土地が狭いこともあり、庭になるべくスペースも駐車場などに取って代わられ、庭自体がどんどんなくなっているという現状があります。造園業界を盛り上げるために、庭の価値を見いだしてもらうにはどうしたらよいかを常に考えています」

【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
ニワプラス#15 「ニワプラストショカン 三浦豊さん編」。奈良県立図書情報館にて

2人が行っている活動のひとつに、2010年から主宰している「ニワプラス」がある。関西を中心として、庭や緑に関わる仕事をしている人たちが集まる会だ。同業者同士で競い合うのではなく、団結して庭の存在を守っていくことが目的。職人さん同士の情報交換の場としてだけではなく、新しいアイデアが生まれたり、各々の得意分野を活かした協力体制が築かれることも多い。

「トークイベントやワークショップには、庭に興味のある一般の方が参加されることも少なくありません。職人からするとルーティーンな庭づくりの行為も、一般の方から見ると新鮮で庭を楽しんでもらえるきっかけになることに、ある時気づいたんです」

【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
ニワプラス#10「ニワプラストショカン 佐藤啓子さん編」。奈良県立図書情報館

二朗さんがガイドとなり、一般の方を募って不定期に行っている、庭めぐりツアー「じろーのワンダフル探庭団(たんていだん)」では、実際に関西の古庭園に足を運んで、庭を楽しんでもらう企画。子どもさんも一緒に参加できる。

「関西には、かなりいい庭が残っているんです。大阪で言えば、天王寺動物園の側にある慶沢園や岸和田城庭園(八陣の庭)などの古庭園などです。イベントでは、庭の歴史や由来に加えて、庭のデザインポイントなどをお伝えしています。例えば、カッコいい建物やカッコいい食器ってピンと来るのに、カッコいい庭って、漠然としたイメージしかないでしょう?庭を見るための視点を持つことで、おのずと庭への意識も変わってくると思うんです」

庭の未来を考える、2人のチャレンジは続きます。

【大阪】「庭」を楽しむ暮らしを。 グリーンスペース/辰己兄弟
「じろーのワンダフル探庭団(たんていだん)」桂離宮編の様子。2015年7月28日には、あべのハルカス「縁活」の一環として、じろーのワンダフル探庭団@慶沢園編も開催

 

屋号

株式会社グリーンスペース

URL

http://green-space1991.com

住所

大阪府八尾市郡川3-75

備考

【イベント情報】

こちらでチェックして下さいね!

グリーンスペース:http://green-space1991.com

ニワプラス:http://niwa-plus.net