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「eAT 金沢」って何だ?【前編】

「eAT2017 in KANAZAWA」イベントレポート

2017.06.28

「eAT(イート) 金沢」というイベントをご存知でしょうか?

ちなみに、イートと言いましても、金沢のカニや鮨が食べられるような、フードイベントではありませんのであしからず。

「eAT」とは「electronic Art Talent」の略。

デジタルをはじめとする最先端のテクノロジーで、映像とクリエイティブを進化させていくことを目的とした金沢発のイベントです。毎年、その時代を象徴するような第一線のクリエイターがゲストとして招かれます。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
「eAT2017 in KANAZAWA」でのワンシーン。/©2017 eAT

1997年から始まり、今年で21年続くご長寿イベントで、「eATに呼ばれたクリエイターは、その年からめちゃめちゃ忙しくなる」といったジンクスもあるほど、クリエイター界隈では、かなり名の知れたイベントなのです。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
「この世界の片隅に」の片渕須直監督(右)が今年の「eAT2017 金沢大賞」を受賞。監督への賛辞を贈るのは、eAT開催委員会の委員長を務める中島信也さん。/©2017 eAT

テーマも「アートはサバイバルだ!」(2003年)、「かっこいい!!がビジネス」(2005年)、「ロマンスエンジニアリング」(2007年)、「センス・オブ・ワンダー」(2012年)「おもしろい次世代」(2014年)などなど、毎年がらりと変わるので、一概に「eATとはこういうもの」と定義できないですが、とにかく最前線のクリエイター達が最先端のテクノロジーを駆使しながら「今おもしろいと思っているモノ・コト」についてのアイディアをガチンコでぶつけ合う祭典なのです。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
毎年がらりと変わるテーマ。

eAT2017 in KANAZAWAのプロデューサーはコピーライターの小西利行さんで、テーマは「会いにキテレツ。見にキテレツ。」まずは今年の1月27日、28日に開催された模様を少々レポート。

珍妙だったり、奇抜だったり、良いのか悪いのかさえ、すぐには判断を下せないような「全くの新しさ=キテレツ」をキーワードとした今回。

ゲストは、片渕須直さん、樋口真嗣さん、菅野薫さん、倉本美津留さん、孫泰蔵さん、宮田人司さん、土佐信道さん、川井憲次さん、徳井直生さん、山口裕美さん、渋谷慶一郎さん、児玉裕一さん、浦沢直樹さん、秋山具義さん、高橋祐士さん、田崎佑樹さん、菊川裕也さん、北出斎太郎さん。(詳しいゲスト紹介はこちらから)

実行委員の一人である宮田人司さんの言葉を借りるなら「時代の著名人ばかりで、よくこんな人達を集められたなと感心するような」、錚々たる顔ぶれで、毎年驚かされます。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
モデレーターの小西さんと、片渕監督と樋口監督。/©2017 eAT

初日の基調講演は、昨年のキネマ旬報の1位・2位を飾った「この世界の片隅に」の片渕須直監督と「シン・ゴジラ」の樋口真嗣監督の奇跡のコラボレーション。説明を廃し、徹底したリアリティを追求する2人の無骨な職人魂が滲むトークに、観客からも拍手喝采でした。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
「スーパートーク」の様子。バラエティー番組の如く、クリエイター用ひな壇が準備されている。

2日目のスーパートークからは、異業種ゲストの掛け合わせトークによる科学反応がスパーク。

実業家の孫泰蔵さんとクリエイティブディレクターの宮田人司さんは、激動のIT業界で新しい価値観を創造している企業やアイディアを。若手クリエイターの北出斎太郎さんと菊川裕也さんは音楽・伝統工芸・最新テクノロジーを融合させたクリエイティブ活動について。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
リオ・オリンピック閉会式でのフラッグ・ハンドオーバー・セレモニーでも話題を呼んだ菅野薫さん(右)と、映像ディレクターの児玉裕一さん(左)。/©2017 eAT

リオ五輪・パラリンピックで日本中を鼓舞した映像コンテンツを手掛けた菅野薫さんと児玉裕一さんは、涙あり笑ありのメイキング裏話を披露。漫画家・浦沢直樹さんと、放送作家・倉本美津留さんは「0から1を生む」、実験的な即席セッションを。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
漫画家・浦沢直樹さんと、放送作家・倉本美津留さんの即席セッションに涙。/©2017 eAT

作曲家の川井憲次さんとアーティストの土佐信道さんは、作曲や楽器製作における自身の流儀について。アートプロデューサーの山口裕美さんと、若手アーティストの田崎佑樹さん、高橋裕士さん、徳井直生さんのトークでは最先端テクノロジーとアートの融合の可能性について。

アートディレクターの秋山具義さんと、音楽家の渋谷慶一郎さんは日常の“キテレツ度”をランキングするというシュールなトークセッション。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
株式会社Qosmo代表取締役・徳井さんはAIとの新しいつき合い方を提唱。
「eAT 金沢」って何だ?【前編】
渋谷慶一郎さんと、秋山具義さん。/©2017 eAT

ステージ上で、弁論台やイスを用いた一般的なトークスタイルながら、「ためになる講演を拝聴している」という堅苦しさは一切なく、まるでライブを観ているような臨場感や高揚感がeATにはあるのです。(詳細はこちらの公式レポートよりどうぞ)

そして、eAT名物であり、eATを象徴する企画が「夜塾」。

“金沢の奥座敷”と言われる湯涌温泉に会場を移した、夜通しのグループ討論で、ゲストから一般参加者までごちゃまぜになりながら車座になり、語り明かします。学生の参加者も多く、彼らにとって雲の上の存在であるクリエイター達と膝をつき合わせて話せるという、夢のような企画なのです。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
「夜塾」の様子。ゲスト陣が旅館の浴衣姿で登場するというラフさ。

「クリエイティブの神髄は人の心が動くかどうか。エンジニアリングとの関係を深め、技術が進歩しても、人と会う、生身の人と会うことが何より大事なこと。人と人が出会うところにeATの一番の価値があると考えています」とは、実行委員会委員長・中島信也さんの言葉。

最先端テクノロジーをテーマとしながらも、この「生」の人と人の出会いによる化学反応こそが、eATの肝なのです。

「eAT 金沢」って何だ?【前編】
eAT実行委員会委員長は、東北新社の中島信也さん。/©2017 eAT

さて、特筆すべきは、そんな大義名分抜きでクールなイベントを、1997年からの19年間、金沢市が主体となって続けてきたということ(2016年まで。現在は民間主導に移管)。

後半では、20年前にeAT金沢を始めた「言い出しっぺ」の前市長・山出保さんと、eAT金沢がきっかけで金沢に移住してきたクリエイター・宮田人司さんのお2人のインタビューから「eATとは金沢にとって何なのか」を考えたいと思います。

【後半の記事を読む】

URL

http://eat-project.jp

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