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山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO

ローカル お店の情報

2018.07.02

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO

2018年4月、山寺のふもとに山形市初のジェラート専門店が誕生した。

その名も「COZAB GELATO(コザブジェラート)」。

店の向かいにはエメラルドグリーンに輝く「紅葉川」が流れ、大きな木々がそれを優しく包み込む。

川辺の景色を眺めながらジェラートを楽しむお客さんの姿がそこにはあった。

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
入り口の脇には、山寺をジェラートに見立てたロゴがお出迎え。

きっとここは生まれるべくして生まれたお店だと思う。

オーナーの石田真澄さんが昨年Uターンし、夫でありイタリアンシェフの大さんと共にオープンさせた念願のお店だ。

お二人の思いを後押しするように、家族の変化、ロケーション、イタリアとの繋がり、いくつもの要素が作用し、導かれるように誕生したのではないか。

そんな強い必然性を感じた「COZAB GELATO」のストーリーをお届けしたい。

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
COZAB GELATOのオーナーであり、二児の母でもある石田真澄さん。

真澄さんは山形県村山市出身で、山形大学を卒業後、東京で医療関係の仕事をしていた。ご主人の大さんと出会い、2017年6月、二人目の出産を機に山形へUターンした。

山寺といえば山形を代表する観光地だが、ここは真澄さんのお祖父さんが長年暮らし、食料品店「寒河江商店」を営んできた場所である。幼少期には毎週のように遊びに来ていた、いわば第二の我が家なのだという。

「2年前に祖父がなくなり、お店を閉じることになりました。ちょうどその頃は子育てのためにUターンを考えていたタイミングだったので、祖父の場所を引き継ぎ、兼ねてから考えていたジェラート専門店をオープンすることになりました」(真澄さん)

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
真澄さんの高校の同級生であるデザイナーがアートディレクションを、店舗のリノベーションも什器の制作も山形を中心とする地元の若手メンバーで行われた。
山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
2階には山と川を眺めながらジェラートを楽しめる、飲食スペースがある。

「祖父の名前『幸三郎(こうざぶろう)』にちなんで、コザブジェラート。寒河江商店の面影を大切に、天井のはりや土間などを生かしてリノベーションしました。

祖父と付き合いがあった地元の人にも食べに来てもらえるのが、とても嬉しいですね。1階にある椅子は50年ほど前から寒河江商店で使っていたもので、それを覚えていて懐かしんでくれるお客さんもいます。

祖父が大切に守ってきた地域への思いを引き継いでいけたらと思っています」 (真澄さん)

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
製造責任者の石田大さん。イタリアのジェラート店Top30に入るオーナーシェフの元でジェラートづくりを学んだ。

ご主人の大さんは埼玉県出身。30歳で脱サラし、料理の修行をするためイタリアへ渡った。

トスカーナ地方のルッカとモンテカティーニ・テルメという2000年以上続く歴史的な町で料理の経験を積み、イタリアのローカルの魅力に強く惹かれたという。

帰国後は東京で7年ほど、イタリア料理留学専門のコンサルタントとしてイタリアと東京を行き来してきた。イタリアとの繋がりは、かれこれ10年になる。

山形へのIターン後には天童市の果樹園で果樹の勉強をして、現在は山形オリジナルのジェラートづくりに挑んでいる。

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO

大さんの手で丹念に混ぜられたジェラートには、空気を含み舞い踊るような躍動感がある。

季節ごとの味や香り、素材の個性を活かすため、メニューは日替わりだ。

取材日のラインナップは、ヘーゼルナッツとキャラメルのクロッカンテ、ミルクチョコチップ、チョコレート、イチゴソルベ、イチゴのクリームチーズ、ミルク(コーヒーの香り)の6種。土日は8種類になる。

その中でひときわ目立つ色鮮やかなイチゴのソルベ。山寺産のイチゴでつくられており、近所の農家さんが毎朝採れたてを届けてくれるという。山寺でイチゴが作られているとは驚きだった。

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
できたてのジェラートは空気を多く含むため、口当たりが滑らかで風味高い(イチゴのソルベは6月中旬で終了)

「採れたてを使えるのが山形で店をやる醍醐味ですね。食材は鮮度が命ですから。

これから夏と秋にかけてどんどんおいしい果物が出てきます。たとえば寒河江のラズベリー、庄内のメロンや梨。果物の他にも、山辺の牛乳や河北の味噌など、地元の食品を多く使っています。

ジェラートを通じて、山形の豊富な食材を知っていただく窓口になれたらと思っています」(真澄さん)

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
山形の美しい景色がおいしい食材をつくると語る石田さんご夫妻。

そもそも、なぜイタリアンレストランではなく、ジェラート専門店をオープンしたのだろうか。

素朴な質問を投げかけてみると、大さんのイタリアでの体験が蘇ってきた。

「料理の修行時代、ひとつの楽しみがシェフの仲間たちと一緒にジェラート屋に通うことでした。見かけは掘っ建て小屋のような川沿いにある名店で、川辺に降りて仲間たちと語りながらジェラートを食べていました。

その数年後の夏、妻との帰省で初めてこの川を見たときに、イタリアでの体験と強くリンクしたんです。『ここでジェラートを食べられたら最高だ!』と直感的に思いました」(大さん)

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
店の向かいに広がる「紅葉川」は、まるで大自然のプールのよう。ここにジェラートの神が舞い降りた。

「山形ってイタリアなんです。ただしく言うなら、山形暮らしは、僕がイタリアで体験してきたこととすごく近いものを感じる。

たとえば、景色や文化、人と人との距離感もそう。イタリアにも山形にも、多くの家庭に“おばあちゃんの味”があるし、世代間のつながりもあるし、手作りする文化も残っています。

かつてはそれが普通だったんですよね。そんな普通な暮らしを続けていくことが大切であり、情緒的だと思うんです」(大さん)

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO
山形といえばさくらんぼだが、この店でさくらんぼのジェラートは登場しない。さくらんぼは無理に加工せずそのまま食べるのが一番おいしいからだ。

ジェラートをつくることが目的ではなく、ジェラートを切り口に、“普通の暮らし”を見直していきたいのだと石田さんご夫妻は言う。

「日常の中で自然の恵を普通においしく味わえる。かつては当たり前だった環境が山形にはあります。それって一見古くさいようで、すごく洗練されていることだと思うんです。

ジェラートは若い人だけでなく子どももお年寄りでも気軽に食べてもらえるので、山形の良さを感じるいいきっかけになれたら嬉しいです」(大さん)

「この土地の良さをどうアピールしていくか。これから私たちはそこを考えていかなければならないと思っています。地元の人にも、県外の人にも、ジェラートを通じて山形の良さを発信していきたいですね」(真澄さん)

山形発、「普通な暮らし」をひとさじのジェラートから/ジェラート専門店 COZAB GELATO

撮影:根岸功
 
COZAB GELATO

〒999-3301
山形県山形市山寺4510-2

info@cozabgelato.com

【OPEN】11:00-16:30
【CLOSE】 火・水

https://cozabgelato.com/

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