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地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」

福岡県南部、筑後エリアにある「うきは市」。福岡の方なら、ドライブに行ったことある!なんて方も少なくないかもしれません。

いちごやぶどう、桃、梨、柿など県内でも有数の果物の産地で、いちご狩りやぶどう狩り、それに伝統的な白壁の街並みも観光地として有名です。近年はその白壁の町並みの中にある空き店舗をリノベーションして、個性的な飲食店やショップが出店し始めたり、新旧が融合して歩いているだけでもワクワクするような場所になっています。
実際に最近では情報誌やInstagramなんかで見かけることもしばしば。

地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(美しい自然と山に囲まれた「うきは市」)
地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(白壁の町並み、最近では個性的なショップや飲食店などが増えています)

そんな、うきは市ですが、今回の舞台は中心市街地から少し離れた山間で閉校した小学校跡地のお話。

と、本題に入る前に、皆さんは全国の廃校の現状についてご存知ですか?

文部科学省の発表によると、2002年度から2017年度までに発生した廃校の数は7583校になるそうです。なんと平均すると11校以上のペースで廃校が出現していることになります。

でも、その約7割くらいが何らかの形で活用がされているそうです。
例えば、宿泊施設やカフェ。水族館に変貌したという驚きの活用がなされている地域もあります。

思い出の詰まった校舎をただ形として残すだけでなく、新たな地域の活力となる場所になるよう、全国で新たな挑戦が始まっています。

地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(山の斜面に寄り添うようにつくられた旧妹川小学校)

そしてここ、うきは市の妹川(いもがわ)地区でも廃校となった妹川小学校の活用への取り組みが動き出していて、地域住民を中心とした活動が今、パートナーとなる廃校活用事業者を募集する段階へと入っています。

旧妹川小学校は、1879(明治12)に開校し、これまで2900人余りの児童が卒業してきました。
山の斜面に建つ校舎からの眺めは抜群で、自然豊かな緑を見渡すことができます。こんな自然に囲まれた環境であれば、教室の中だけの学びに留まらないことは容易に想像できます。

しかしそんな美しい自然環境とは裏腹に、過疎化の進む中山間地域とあって児童数の減少から2019324日、140年の歴史に幕を下ろしました。

地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(たくさんの思い出を詰め込んで静かにその役割を終えた旧妹川小学校)
地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(今にも子どもたちの元気な声が聞こえてきそう)
地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(山を切り開いてつくられた小さなグラウンド、この場所もアイデア次第で化けそう)
地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(校舎の窓先やグラウンドの前に広がるが妹川の風景が好きです、きっと星もきれいだろうなぁ)

最近では僕らも廃校活用などの相談をいただくことが増えてきました。そんなとき、地域の住人は衰退していく地元に何かしらの危機感は持っているものの、やはりその現実を漠然と見守っているというケースが少なくありません。

ただ、この妹川地区では、地域の象徴でもある小学校の廃校を、行政的な動きを見守るだけでなく、まずは地域住人が自分ごととして自主的に未来に目を向けていこうと協議会を結成し具体的な活動が進められています。

今回は、その中心メンバー、自治協議会会長の國武輝興さん(以下、会長)、妹川で平成7年から農村体験者を受け入れている國武トキエさん(以下、トキエさん)、妹川小学校の最後のPTA会長の堀江剛文さん(以下、堀江さん)お三方にお話を伺いました。

地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(左から國武会長、トキエさん、堀江さん)

“地元住民が自主的に妹川小学校の閉校について話し合いや取り組みを始めたきっかけは何かあったのでしょうか?”

会長:「現在の「自治協議会制度」の中では、自分たちの地区は、自分たちの力を結集し、創り上げていかなければならない宿命があります。このような中、「閉校・統合」に対しては、様々な思いが交錯してきたこと、一方では、子どもたちの教育環境のこと、PTA役員が成立しない状況が生まれること等、様々な課題が生じ始め、新たな展開を模索せざるを得ませんでした。統廃合の最終決定は、自治協議会総会に委ねられていましたが、総会において承認の運びとなった次第です。」

堀江さん:「自分が最後のPTA会長をやっていたという小学校との繋がりも強いですし、大なり小なり妹川の人はみんな小学校に思い入れがあるもので、ひとりでは何もできないけどやっぱり願いとしてはどうにか小学校が地域にとって良い方向に再生されればとみんな思っています。そのためには、構想とかイメージだけでなく具体的に実現性のある議論を進めていかないといけないという思いもあって活動に参加しています。」

地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(小学校はやはり地域のみんなにとって大切な場所でした)

会長:「あと閉校式が行われることが決まってから、閉校誌を作るべきではないかというお話を堀江さんからいただきました。というのも実は妹川小が百周年を迎えた時に記念誌を作ったので、今の我々の責務として何か形に残るものをつくらなければという想いからスタートしました。」

 堀江さん:「PTAだけでの力では完成までたどり着けないと思っていたので、まず会長にお話をいたしました。仕事をしながらの作業だったので時間を作るのが大変でしたが、積み上げてきた記憶を次世代に繋いで行く助けになれば幸いですね。」

実際作成し始めるとなかなか原稿や資料が集まらず苦労の末に完成した閉校誌。

その閉校誌が完成へ近づくのと呼応するように、自然と地域全体を巻き込んだ廃校活用の活動へと広がっていったそうです。

地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(みんなで力を合わせてつくった閉校誌)

“具体的には廃校の活用に向けてどのような取り組みをされてきたんですか?”

会長:「具体的には、市と協力しながら旧妹川小学校内覧会やワークショプを行ってきました。内覧会では、市の内外から8つの企業や団体に参加いただき、外からの意見を聞いたり、妹川の魅力や地域住民の思いを伝える良い機会となりました。ワークショップでは、地域住民が具体的な活用の方向性について課題や可能性について地道に対話を重ねてきたんですが、例えば、宿泊ができたらとか鳥獣被害の問題に関連してジビエ料理なんかの施設ができたらとか、地域課題に結びつく意見が多かったですね。」

 堀江さん「ワークショップは自主参加ですが毎回20人ほど参加があり、地域の人たちの関心の高さと期待が感じられますね。地道な活動ですが、地域住民が主体性を持って一つ一つ土台を作っていくことが重要だと考えています。」

また、このような取り組みをしっかりと継続的に進めていくための工夫として、自治協議会の役員が変わっても話が振り出しに戻らないように、別に作業部会も立ち上げて、具体的な話がスムーズにできるような体制づくりもされていたりするそうで、そういった細かな仕組みづくりにも地域の人たちの真剣さが伝わってきます。

地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(ワークショップの様子)

“今後どんな事業者の方に旧妹川小学校を活用してもらいたいですか?”

 すると異口同音に「地域とともに歩んで、お互いの強みを生かしながら、一緒に妹川の拠点を作っていける方々ですね。」とお三方からお返事が。

そんな廃校活用に向けてまさに助走の段階にある妹川ですが、今から20年以上も前に妹川と都市との交流を始めていた人がいます。それがトキエさんなんです。

妹川のキーマンであるトキエさんは、グリーンツーリズムという言葉が広く知られる前から農業体験や農業民泊をされてきました。

トキエさん:「やっぱりまずはここの人がここの暮らしを楽しんでいないといかんですね。これまで都会からいろんな人が来ましたが、それは特別なことを用意したという訳ではなく、自分が普段していることをそのまま体験のプログラムに組み込んだだけです。

結果、都会の人がいつの間にか目がキラキラと輝く瞬間を何度も目の当たりにしてきたし、ありのままの妹川を体験してもらう方が魅力がストレートに伝わるんですよね。魅力的に見せよう見せようと思ってもどこか作り物の感じが出てしまう。だから、この小学校についても、地域と結びつきが強くて、ここに来れば妹川の良さが自然体で伝わるような、そんな場所になってほしいと思う。」

地域のことを自分ごとに「うきは市旧妹川小学校廃校活用プロジェクト」
(妹川にお嫁にきて50年、トキエさんの言葉の節々に地域への愛情が伝わってきました)

堀江さん:「とにかく、やっぱり実現可能なことを具体的に考えていかないと、と思うんです。廃校を活用する事業者が決まることがゴールではないので。しっかりとお互いが信頼関係を築いて、末長くともに歩んでいきたいですね。」

実はインタビューも1時間の予定が、話が弾んで弾んで2時間と・・もっとお伝えしたいこともあるのですが、その言葉と眼差しから、地域への想いと地域の未来を真剣に考える姿勢が本当に伝わってくる時間となりました。

 全国各地で、いま、このような廃校の活用の話は尽きない時代になってきましたが、地域が他人ごとではなく自分ごととして危機感を持ち行動を起こそうとしている妹川地区。全国に同じような問題を抱える地域はあれど、そんな前向きな人たちがいる場所には、自然と興味を持つ人たちが増えてきそうな気がします。何かをやってみようと検討する事業者においても、やはり最後に背中を押してくれるのは地域との顔が見える関係性であったり、地域との連携は大事な要素のひとつですよね。

とある田舎の廃校活用をきっかけとした、地域とのパートナー探し。興味ある方は、まず一度「うきは市」「妹川地区」に足を運んでみてください!

備考

<旧妹川小学校に関するお問い合わせ>
市長公室付遊休施設等活用プロジェクトチーム
電話:0943-76-9063
メール:yu-kyu@city.ukiha.lg.jp

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