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はじめての「ひょう」

地域の連載

2020.06.30

※山形へ移住したライター中島による、山形で体験する“はじめて”の食べ物、イベントなどを記録するコラムです。アーカイブはこちらから。

はじめての「ひょう」

雑草を食べたお話です。

ある日、ナチュラルワインと気まぐれキッチン「プルピエ」の取材にて、店主の佐藤さんに店名の意味をたずねたところ、「ひょうですよ」との返答が。

「ひょう?」

「雑草の名前です。山形では雑草を食べるんですよ」

きょとんとする私に、佐藤さんはていねいに説明をしてくれました。

ひょうとは正式名称を「スベリヒユ」といい、痩せた土地に生え、日照りにも強い。住宅地の道端や畑、垣根などに場所を問わず自生していく、生命力あふれる雑草。

江戸時代に上杉米沢藩が財政困難に陥り、上杉家第9代藩主・上杉鷹山が倹約のために食べるよう推奨し、山形県の内陸を中心に食文化として根付いていったそう。日本で食べるのは山形と沖縄が多いのだとか。

山形では、夏はおひたしに、冬は乾燥させておいたものを煮物に使うのがメジャーな食べ方とのこと。

はじめての「ひょう」
プルピエのロゴは、飲み干したワインボトルからひょうの丸い葉っぱが飛び出たデザイン。 Photo by Isao Negishi

実はヨーロッパでも食べる習慣があるそうで、ひょうのフランス語が「プルピエ」というのだそうです。オメガ3脂肪酸が摂れると、最近ではその栄養価に注目が集まっているといいます。

本当は道端で採取したいところだけど、産直でも買えるとの情報を得てさっそくゲットしてきました。

はじめての「ひょう」
近所の産直でたくさん売っていました。
はじめての「ひょう」
ワサっと入って100円。採れたてで根には土がついている。どんな味だろう…ドキドキ。
はじめての「ひょう」
プルピエのサインにまとっていた葉っぱの形だ!

たしかにこのような雑草、見たことがある気がする。表示を見ると、山形市松波エリアで採れたもの。松波といえば、山形県警察本部や山形大学附属中学や小学校があったり、286号線が走っているエリアだよなぁ。あのへんに生えていたのかぁ。朝一に産直でゲットした、フレッシュな雑草…。やっぱり少し不思議な気持ち。

お浸しをつくります。さっと茹でて、冷水にさらして食べやすい大きさにカットするだけ。ゆでると茎が少し赤くなります。

いざ実食。醤油と少しのからしをつけて食べます。雑草というと苦いのかな?と思いきや、ほんのり酸味があり、モロヘイヤのようなぬめりがあり、からしと相まってさっぱりしておいしい。

はじめての「ひょう」
ひょうのおひたし。今度は近所で探してみよう。近所で自生するものをとって食べるなんて、地産地消の極み。

山形出身の友達に聞いてみたところ、子どもの頃からおばあちゃんがよく道端で取ってきて食卓に並んでいたとのこと。ひょうという名前から「ひょっとしていいことがありますように」という言葉にかけた縁起物でもあり、お正月に食べたり、受験前の願掛けで食べられることもあるそうです。

ひょうのおひたしは、たとえ山形でも飲食店のメニューで見かけることはほとんどありません(※)。道端の雑草に食糧として着目し、縁起物にまで昇華させたリアルローカルフード。山形の人の知恵やたくましさを噛みしめながら、そっと心に祈るのでした。

ひょっとしていいことがありますように。

※プルピエでは期間限定でメニューに出ることがあります。
プルピエのインタビュー記事はこちら