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ガラスをつなぎ、歴史と想いもつなぐリメイク家具 「伏見屋ガラス店」

インタビュー

2020.09.29
ガラスをつなぎ、歴史と想いもつなぐリメイク家具 「伏見屋ガラス店」
「伏見屋ガラス店」。全面のガラス扉から日の光が入るため、とても明るい店内。

旧国道4号である昭和通りから一本入った商店街に、全面ガラス張りのおしゃれな店舗が目を引く「伏見屋ガラス店」があります。
1914年(大正3年)から続くガラス屋という業態を守りながらも、リメイク家具の販売やイベントの開催など近年新しい取り組みを次々と展開されているその裏には、どのような想いがあるのでしょうか。
今回は4代目店主 三保谷泰輔さんにお話を伺いました。

ガラスをつなぎ、歴史と想いもつなぐリメイク家具 「伏見屋ガラス店」
「伏見屋ガラス店」4代目店主の三保谷 泰輔さん。
店を継いだのは成り行きだった

――老舗ガラス店の4代目として、どのような想いで店を営まれていますか??

この場所でガラス屋を営んで100年以上、おそらく郡山では一番古いガラス屋になります。創業時は、ランプを始めとしたガラス製品を扱っていましたが、父の代でガラス窓などで使用される板ガラスの加工、販売がメインとなりました。

私は幼い頃から3代目である父の姿を見てきて、自分も継がざるを得ないんだろうというプレッシャーをずっと感じていました。それに抵抗するように、一度サラリーマンとして働きはじめたのですが、これが性に合わず、自営業なら自由に仕事ができるんじゃないかという不純な動機から家業を継ぐことになりました(笑)。でもガラス屋の仕事も、やってみると全然楽しいと思えなかったんですよ。ガラス窓のほとんどがメーカーの既製品となり、メーカーの下請け工事などを受けるしかなくなるしかありませんでした。先代の業態ではガラス屋として生計を立てるのは難しくなっていたんです。

もう何度も廃業を考えたのですが、先祖代々受け継いできたものの大きさを考えると踏ん切りがつかず、当時の状態から抜け出すための道を模索し続けていました。

この仕事をするようになって20年ほどですが、自分の方向性がやっと見えてきて、想いを込められるようになったのは5年くらい前ですね。

ガラスをつなぎ、歴史と想いもつなぐリメイク家具 「伏見屋ガラス店」
写真は昭和初期に今のお店と同じ場所で撮られたもの。真ん中は三保谷さんの曽祖父にあたる初代店主。
探していたものは“ここ”にあった

――5年程前に大きな転機があったようですね?

取引先の営業マンに店舗に商談スペースつくりませんか?と言われまして、試しに物をよけて机と椅子を置いてみたら、それがなんだかしっくりきて。その勢いで他の部分も綺麗にしたくなったんです。仕事の合間にペンキを塗ったり、天井を剥がしたりしているうちに、今まで隠れていた建物本来の良い雰囲気がどんどん出てきて、気づいたときにはもう夢中になっていました。

そんなとき、屋根裏から木箱に入った古いガラス製品を見つけたんです!
木箱を開ける度に素敵なガラス製品を見つけて、まるで宝箱を開けるような感覚でした。そして「ここにある古くて良いものを活かしながらやっていこう」と自分の道を見つけた瞬間でもありました。

それまではガラス屋を辞める方法ばかり考えていましたが、「代々続くガラス屋」という与えられた環境を受け入れ、本質的ないいものを見つめ直してみたら、いろいろなアイデアが閃いたり、仕事の幅広がりだしたりしたんです。まだまだ試行錯誤しながらですが、僕自身も楽しめるようになっていきました。

ガラスをつなぎ、歴史と想いもつなぐリメイク家具 「伏見屋ガラス店」
店内にあるガラス製品の半分以上は、実際にお店の屋根裏から見つかったものだそう。

――昭和レトロなガラス製品はもちろん、店内にあるステンドグラスの入った家具もとても素敵ですね。これらは三保谷さんが作られたものですか?

はい、店内には私が作ったリメイク家具を何点か置いています。古い家具のガラスって、いまは製造されていないので、割れても直すことができず捨てられてしまうことが多いんです。それがとても残念というか、勿体なく感じていました。でもガラス同士を繋ぎ合わせれるステンドグラスなら、修理や加工が可能なのではと思い、技術を習得してリメイク家具を作るようになりました。

最近ですと、県外のお客様から「障子の建具にステンドグラスを入れてくれないか」というご依頼をいただきました。私がSNSに投稿していた作品やリノベーションの様子を見て依頼をしてくれたそうなんですが、想像もしていなかった展開で本当に嬉しかったです。

昔からあるものに、現代的な技術や工夫を加え魅力あるものに生まれ変わらせる。「古くて新しい」、これが私の見つけた道です。

ガラスをつなぎ、歴史と想いもつなぐリメイク家具 「伏見屋ガラス店」
三保谷さんがリメイクした家具。「古くて新しいガラス店」を象徴するような商品。
ガラスをつなぎ、歴史と想いもつなぐリメイク家具 「伏見屋ガラス店」
「曽祖父、祖父、父がいたから、いま自分は100年続いたガラス店を名乗ることができているということを、最近強く感じるようになった。」と三保谷さん。

――最後に、今後の展望を教えてください。

このお店に自分の作品をどんどん増やしていきたいですね。それを欲しいと言ってくれたり、リメイクを依頼してくれる人が増えると嬉しいです。
ゼロから家具を作ることのできないガラス屋だからこそ、できるリメイクがあると思うので、その強みを活かした作品作りをしていきます。

今はまだ体制が整っていませんが、今後は古い家などから捨てられてしまう家具を買い取り、リメイクしてまた世に出す仕組みを構築して、モノの循環を図りたいと考えています。また新しい業態にチャレンジするなどガラス店として“自分の色”を徹底的に出した事業をやっていくつもりです。

一方で商店街の方々と一緒に路面店を構えたり、お客様や地域の声にも応えたえていきたいですね。自分の色を出すことと、周りと協調することとは相反するかもしれませんが。僕はちょっと変なガラス屋なのかもしれません(笑)。

ガラスをつなぎ、歴史と想いもつなぐリメイク家具 「伏見屋ガラス店」
三保谷さんの作った作品の一部。

4代目の重圧のなかでも、「自分らしさ」を見つけた三保谷さん。
どこか誇らしげに「変なガラス屋」と名乗る姿が印象的でした。
古いものと新しいもの融合、新しいことへのチャレンジ。これからどんな作品が生まれるのかとっても楽しみです。

URL

HP:https://www.fushimiya-glass.com/

住所

〒963-8871 福島県郡山市本町一丁目7番15号

TEL

024-922-1586

営業時間

月~土9:00-18:00
※現場作業等で不定期に留守になることがあります
木9:00 -~18:00

定休日

日、祝日、第二土曜日

備考

Instagram:https://www.instagram.com/glass_art_fushimiya/
Facebook:https://www.facebook.com/glass.art.fushimiya 

名称

伏見屋ガラス店

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