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福井駅前浪漫飛行2「ここで駅前の続きをしましょうよ」イタリア宮崎夫妻

福井の連載

2021.03.12
福井駅前浪漫飛行2「ここで駅前の続きをしましょうよ」イタリア宮崎夫妻
店主の宮崎又彦さん(左)、妻の典子さん(右)。「イタリア」の店のことを取材する時は必ず夫婦でとお願いしているそう。

福井駅前は、2024年の新幹線開通に向けて大きく姿を変えようとしています。連載「福井駅前浪漫飛行」では、福井駅前で日々を過ごし、店を営んできた人たちや、関わりを持つ人たちにお話しを伺いながら、このメタモルフォーゼを追いかけていきます。

50年目の再スタートはここで

202128日、雪がちらちら舞う日。福井市加茂河原にある住宅街の一角に、緑赤白の縁取りをしたシンプルな「イタリア」の看板が再び立った。「さむ〜っ」と言いながら扉に近づくと、カラフルな花輪が立つ真新しい店の灯の下でふわりと毛布をかけてくれるようなあたたかさに包まれる。店内の厨房では、再開を待ち望んでいた常連客に囲まれ、店主の宮崎又彦(みやざき またひこ)さんと妻の典子(のりこ)さんが、忙しそうに腕を振るっていた。

福井駅前浪漫飛行2「ここで駅前の続きをしましょうよ」イタリア宮崎夫妻
イタリアの赤白緑のシンプルな看板は駅前時代から変わらない。

福井駅前で初めてのスパゲッティ専門店として開業し、49年と15日続いた「イタリア」は20208月末に福井駅前再開発工事のため多くの常連客に惜しまれながら「一旦」閉業した。

フレンチレストラン「ル・ディアマンローズ」「ル・ディアマンローズ」のオーナーシェフを務める息子の宮崎崇(たかし)さんからの後押しもあって、崇さんのレストランから歩いて3分の場所に「イタリア」の新店舗を建てることを決意。半年のお休みを経て、この新天地で再スタートを切ることになったのだ。

新しい店舗に入ってみると、駅前の店と同じくメインのカウンター席の他に、2つのテーブル席が加わっていた。店の一角には又彦さんが趣味で続けているハープがいつでも演奏できるように置かれ、一層の華やぎを増している。

福井駅前浪漫飛行2「ここで駅前の続きをしましょうよ」イタリア宮崎夫妻
フォークは片方の外側が山型になっていて、麺を絡めやすく工夫したオリジナル。美味しそうなスパゲッティを目の前にして、つい撮影を忘れて一口食べてしまった。

メニューはもちろん変わらない。「パスタ」ではなく「スパゲティ」。私はいつものミートソースを注文した。ちょっと太めの麺にピリッとスパイシーな味がクセになり、高校時代に叔母に連れられて何度となく駅前の店のカウンターに座った。ずっと変わらずに現役である味が、いつでもその時の記憶を蘇らせてくれる。

福井駅前浪漫飛行2「ここで駅前の続きをしましょうよ」イタリア宮崎夫妻
福井駅前に半世紀近く続いた「イタリア」外観。ユアーズホテルの地下に入ると良い匂いがした。
(写真提供:イタリア)
福井駅前浪漫飛行2「ここで駅前の続きをしましょうよ」イタリア宮崎夫妻
駅前時代から知る常連にとってシンプルで馴染みのある看板と、優しい雰囲気の新しい店舗外観。

福井駅前「イタリア」半世紀の物語

「佐藤さん、僕ね、せっかくだからたくさんお話しますよ」

店主の又彦さんは穏やかに、だけど、忘れることはできない大切な思い出を、一つ一つ言葉を選びながらゆっくりと語ってくれた。

福井駅前から「イタリア」が姿を消してから、多くの常連客が又彦さんに「どこに行ったの?」と問い合わせが後を絶たなかったという。「駅前にイタリアがないなんて考えられない」というお客さんの声を消したくなかったが、妻の典子さんと「(郊外へ移っても)ここで駅前の続きをしようよ」と何度も話した。

又彦さんが「イタリア」を始めたのは29歳の時。法政大学の法学部を卒業し、セメント協会に就職して会社員として働いていたが、実家で機屋を営んでいた父が58歳という若さで亡くなったことをきっかけに帰省。

旅行先で出会った典子さんと結婚し、手に職をつけて自店を持とうとした折、縁があって辻調理師専門学校の先生から当時は珍しかったイタリアンスパゲッティのレシピを教わる機会を得た。

その後、「小さくても良い。福井の最高の場所へ出て行くぞ!」と、福井駅前で初めてのスパゲッティ専門店を始めるため、昭和46年のショッピングセンター「パル」(現在の西部の場所にあった)の開業に合わせて「イタリア」としてテナント入りを果たしたのだった。

カウンター7席だけの小さな3坪の店だったが、たちまちに人気店となり、昭和54年のユアーズホテルの開業に伴って、地下1階に2店舗目を出店することになった。(「パル」の撤退と同時に1店舗目は閉店)

家族とお客さんとで作ってきたかけがえのない時間

半世紀近い時間の中で刻まれた出来事は、次から次へと溢れてくる。

「息子が1歳の時に店を始めたからね、駅前の保育園へ預けて、毎日自転車で女房が送り迎えにしていた。店で僕が一人になると、学生の常連客が『忙しそうだから皿洗いしてやるよ!』と厨房に入ってきて助かったね。それから女子高生が学校帰りに、電車が来るまでカウンターで勉強をしてることもあった。『私の場所はここなんだ』って思ってもらえる場所だったんだろうね」

そして、「イタリア」がみんなに愛され、続けて来られた理由は、又彦さんと典子さんの二人の強い絆の証にある。

「夫婦の気持ちが一つでなければできないね。そして、お互いに助けられていることを忘れちゃダメ。もちろん喧嘩だってしょっちゅうよ。だけど、(覚悟を決めて店をやってるのは)百も承知なんだからたいしたことじゃない。『私もやるからお父さんもやってよ!』って、これぐらいの気持ちが必要」

福井駅前浪漫飛行2「ここで駅前の続きをしましょうよ」イタリア宮崎夫妻
00年続けてきた趣味のハープ。演奏会のオファーも多く、常連客の協力でCDも作成されたほど。店内の照明にもハープをあしらっている。

賛美歌のようにほがらかに話す又彦さんの明るい口調とは裏腹に、強くたくましく揺るぎない信念に支えられた言葉たちが、長年のファンの心を掴んで離さないのかもしれないと、改めて感じる。

「新しいこの場所に店を構えたらね、近所の人が『にぎわいがあって良いわぁ』と言ってくれた。どこにいたって続きはできるからね。駅とこっちがつながって、人の流れが循環してくれたらいいね」

これからも、福井駅前と郊外をつなぐ「イタリア」という1点が強い絆で結ばれ、「イタリア」で育まれた魂が福井駅前で店を続ける人にとって頼もしい支えになっていくに違いない。

「福井駅前浪漫飛行」アーカイブはこちらから。

名称

スパゲティ・ピラフ専門店「イタリア」

URL

「イタリア」Facebookページ

住所

福井県福井市加茂河原1丁目5-10-3

TEL

0776-35-3828

営業時間

11:30-14:30、17:30-20:00

定休日

木曜日、水曜夜

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