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山形移住者インタビュー/フリーレース作家 Kari Ishikawa さん

移住者の声

2021.03.09

2020年、山形市に移住し、新しい生活をスタートさせたフリーレース作家のKari Ishikawaさんを訪ねました。

首都圏から移り住むことになったkariさんは今、この山形で、糸と糸を繋いだ唯一無二の作品をつくりつづけています。

どのような経緯で、この山形市に移り住むことになったのか。それは、自分の作品や暮らしに、どのような変化をもたらしたのか。そして、今、新たな拠点となったこの土地での暮らしにどんな楽しみを発見しているのか。

kariさんへのインタビューがはじまります。

山形移住者インタビュー/フリーレース作家 Kari Ishikawa さん

山形への移住は
楽しみで仕方なかった

2020年1月に結婚し、その2ヶ月後に山形に来ました。山形は、夫の実家がある場所なんです。

山形に来る直前までは、横須賀に築50年の一軒家を借りて暮らしていました。18歳まで家族と埼玉の所沢で暮らし、その後進学を機に横浜で一人暮らしを始めて。卒業後は暮らしを軸に置いた生活がしたくて、横須賀のその物件を見つけたんです。都内に行くにも便利ですし、元々美容室だった物件で、アトリエとしても広々使えるところがお気に入りでした。

3ヶ月ほどすると、実家の母と姉もここに暮らすようになり、今ではその横須賀の家が私の実家です。このとき「移住の気持ち」というものを感じたのですが、その3年後には結婚をきっかけに夫の地元に暮らしているんですから、不思議ですよね。私は、住むところに対しての執着心がないみたいです。山形に移住するときも、あったのは好奇心や楽しみだけ。これからも自分が住みたいと感じたところに住みつづけたいです。

気軽にどこへでも
移動できる楽しさがある

結婚生活の最初の頃は、山形駅裏の城西町に住まいを借りました。便利なところなので、快適に生活していましたが、2020年10月に引越しをして、今の家に暮らしはじめました。ここは中古物件で、ネットに掲載された瞬間に夫が見つけたお家です。すぐ不動産に連絡をして見に行って、契約するまで24時間かからなかったですね。

この家のリフォーム期間だった3ヶ月を利用し、教習所に通いました。駅裏暮らしのときは車がなくても困りませんでしたが、この家はなかなかローカルなエリアの山のなかにあり、バスは1日に2本しか来ないので、なんとしても免許が必要でした。これまでずっと、車とは無縁の生活をしてきたので、大きなギャップを感じましたね。

でも、山形で、人生初の車生活をはじめてみると、どこにでも行ける楽しさを感じました。東京なら電車で街中へ行ってショッピングするのがふつうだったけれど、それより山の方に行ってみたり、穴場に行けたり。たくさんの場所を開拓できてすごく楽しいですね。行動範囲もぐんと広がって、出かける楽しみ方が変わり、とても新鮮です。

困ったこともあります。雪がこんなに降るとは想像していませんでした。運転中に山道でスリップしてしまい、買ったばかりの車を廃車にしてしまったときは本当にショックでしたね。以来、雪道運転がトラウマです。雪が多い日に出かけなければならないときは、夫の出勤時間に合わせています。時間を持て余してしまうことがあるので、はやく雪の季節が終わってほしいです。

3匹の猫が癒しを
与えてくれる日々

山形に来てからの大きな変化といえば、猫と暮らしはじめたこと。「すだち」「キキ」「ジジ」という3匹の保護猫と一緒に生活しています。とても人なつこくて甘え上手な猫たちです。

山形移住者インタビュー/フリーレース作家 Kari Ishikawa さん
(写真提供 kariさん)

2020年はコロナの影響を受け、予定していた結婚式が中止になりました。それですごく気持ちが落ち込んでいたときに出逢った猫が「すだち」です。家に帰れば出迎えてくれたり、下の猫2匹も懐いて賑やかになったり、たくさんの癒しを与えてくれます。保護猫を探すタイミングが少しでもずれていたら、3匹には出会えていなかったので、悲しかったこともこの子たちに出会うためにあったんだと今は思えます。

それで私も恩返しというか、この子たちと同じような猫や動物のために何かできたらいいなと考えているところです。SNSで保護猫との暮らしを知ってもらいたいなと思っています。

また、作品のオーダーをSNSからも受けているのですが、動物がモチーフとなっている作品の場合、その売上げの一部をNPO法人の動物基金に寄付する取り組みをはじめました。微力なことかもしれないですが、これからも続けていきたいです。

山形移住者インタビュー/フリーレース作家 Kari Ishikawa さん

暮らしに馴染む作品を
山形でつくっていきたい

私が制作するフリーレースは、糸と糸を縫い合わせていくという、他にはない技法で、優しい存在感のあるところが気に入っています。これは、服飾科の高校に通っていたときに習得した技法で、卒業制作にも使用しました。

高校卒業後は、服飾専門学校に進む同級生が多いなか、私は桑沢デザイン研究所のファッションデザインコースに進学しました。もともと、アパレル業界に進みたいという思いよりも、生活雑貨や日用品のデザイン、暮らしにつながる作品をつくることが私の夢でした。フリーレース作家として、自分がつくりたいものを創作するようになった今でも、軸にあるのは「暮らし」の部分です。

今年こそ、山形で展示会を開きたいですね。2020年はインプットの年だったので、次はアウトプットの年にしたい。この家を展示会場にしてみようかな…なんて、妄想が色々と膨らみます。今はまだ、近くに友人が少ないので、どのくらいの人が観にきてくれるだろうという不安がありますが…。作品を通して、山形の方ともっともっと知り合えたら嬉しいですね。

山形移住者インタビュー/フリーレース作家 Kari Ishikawa さん
暖かく迎え入れてくださったkariさん  画:荒井優希

 

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アトリエ糸好日

2021.3.9
取材・記事制作/
東北芸術工科大学デザイン工学部
グラフィックデザイン学科
荒井優希
(real local Yamagata インターン中)