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【山形】コロナ禍に聴く音楽3 初冬に聴くサンバの名盤

地域の連載

2021.11.12

新型コロナウィルス感染症の新規感染者は大分減少しましたが今後第6波の懸念もあり、まだまだ安心できる状態にはありません。自宅にいる時間はこれからも長くなる可能性があり、音楽を聴いて有効に使いましょう。

さてブラジル音楽というと、多くの方が想像されるのはボサノヴァかサンバだと思います。日本のブラジル音楽ファンの多くは、実はボサノヴァのファンであり、サンバを聴いている人は少数です。しかしブラジルではすでに純粋なボサノヴァは過去の音楽です。もちろん現在のブラジル大衆音楽に多大な影響を及ぼしたのは間違い無いのですが、彼の国の若い人達は、ボサノヴァの存在すら知らない人もいる、と言うのが現実です。ブラジルに行って現役のボサノヴァの生演奏をたくさん聴こうと思っても、それは今やあり得ないことです。一方サンバは、日本ではカーニバルのイメージが強く、聴く音楽だと思っていない人も多いのではないでしょうか。

しかしサンバはボサノヴァのベースとなった音楽でもあり、その形態は変化をしながらも、本国では最もポピュラーな音楽であり続けています。ではあのカーニバルの音楽(サンバ・エンヘードと言います)を普段皆が聴いているのかと言うとそうではありません。リオの街の裏の山肌にぎっしり家が連なる貧しい人達のスラム(ファベーラ)で育まれたサンバは、市井の人々の日々の音楽であり、実に滋味深い音楽として発展しました。本項では、ボサノヴァが終焉を迎え、サンバの復興が始まった60-70年代の、リオの裏山で生まれたサンバの代表的なアーティストと、そのアルバムを4作品紹介します。ボサノヴァのようにお洒落な音楽ではありませんが、サンバにはサンバならではの滋味豊かな魅力があります。山形の寒い初冬に聴く音楽として相応しいと思います。

⭐️CARTOLA / Verde Que Te Quero Rosa (1977)

カルトーラ(1908-1980)が、初めて自身の音源をリリースできたのは1974年、64歳になってからのこと。生涯スタジオ録音は4作のみで、その全てが歴史的名盤です。本作はRCAに残された2枚の中の1枚。美しく慈愛に溢れた珠玉の名曲が収録されています。

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⭐️PAULINHO DA VIOLA E ELTON MEDEIROS / Samba Na Madrugada (1966)

現役で活躍中、サンバの貴公子と言われるパウリーニョ・ダ・ヴィオラ(1942―)と、故エルトン・メデイロス(1930-2019)の1966年作の共演作。パウリーニョの端正な歌とデリケートな楽曲で、サンバの美しさを率直に感じることが出来る名作です。

【山形】コロナ禍に聴く音楽3 初冬に聴くサンバの名盤

⭐️NELSON CAVAQUINO / ST (1973)

カエルのようなガラガラの声と、一聴して特異なギターの演奏。ワン・アンド・オンリーのスタイルと、盟友ギリェルミ・ジ・ブリートとの共作を中心に、数々の美しい名曲を残した故ネルソン・カバキーニョ(1911-1986)。その名曲を多く収録した好盤です。

【山形】コロナ禍に聴く音楽3 初冬に聴くサンバの名盤

1969年の、Leon Hirszmanによるドキュメンタリー・フィルム。まるで哲学者のようです(裸だけど)。

⭐️BETH CARVALHO / Nos Botequins da Vida (1977)

ネルソン・カバキーニョを神様と仰ぐ白人女性歌手ベッチ・カルヴァーリョ(1946-2019)。サンバを代表する偉大な歌い手です。一昨年亡くなるまで精力的に活動を続けていました。ハスキーでまっすぐな歌声は聴くものに、大いなる喜びを与えてくれます。

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いかがでしたか?サンバはブラジルの大衆音楽の核であり、庶民の心情を代表する音楽です。これを機会にぜひサンバを聴いてみよう、という方がいたら嬉しいですね。