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開発に揺れる、此花区・梅香|まちコラム

地域情報
2026.01.27

西九条駅から西へ、六軒家川に架かる朝日橋を渡った先が此花区・梅香(ばいか)というエリアです。西九条側には建設中の新築マンションが、梅香側にはトタン張りの建物が建ち並ぶ対照的な風景。梅香を拠点に活動する詩人の辺口芳典さん(以下、辺口さん)と、ウェブデザイナーのともさんが大阪R不動産のイベントに来てくれたことをきっかけに、梅香まち歩きに誘っていただき、久しぶりに訪ねました。

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過去と未来が交差する、川沿い

川沿いに建つ家屋は辺口さんが案内所兼カフェ「OTONARI」として運営していた場所でもあります。まさに梅香の入口。

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以前「OTONARI」が運営されていた秘密基地のような場

「OTONARI」の隣はかつて「梅香堂」というギャラリーがありましたが、ともさんが住まい兼しごと場として暮らしています。玄関は細い路地を抜けた川側。

川沿いの建築群は法的に複雑な権利関係の問題を抱えつつも、行政や大資本によるトップダウン開発ではなく、アーティストやクリエイターによるボトムアップの活動の原動力となり、文化創生の発信地となっていました。

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梅香堂の内装が一部残るともさんの拠点。まるで映画の世界。

此花区の道路は元々工場地帯でトラックの往来をスムーズにするために幅員が広く計画されたそう。道幅の広さに、低層の建物。高度成長期を経てトラックの往来は減った今、穏やかな空気が流れる街の雰囲気は、他の大阪の下町にはない梅香の魅力かもしれません。

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複数のクリエイターの工場であり、Essential Storeが不定期でコレクションや収集品の展示・販売も行っている、オルタナティブなスペース「PULL」

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窓から覗く鑑賞方法のギャラリースペース「ASAHISONOMA」
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ランチプレートや自家製ケーキなどが評判のカフェ「BAIKafe」

開発の波と寛容さの行方

「西九条駅の周辺には新築マンションが建ち並び、雰囲気のあったトンネル横丁と呼ばれた高架下の飲食店も立ち退きになった。梅香エリアにもこの数年で開発の波は押し寄せていて、背の高いマンションが建ち始めている。開発されることが悪いとは思っていないけれど、この街の良さでもある寛容さが失われていくような気がして…」

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「垂直性ではなく、水平性。それが此花の魅力。ストリートでは誰もが対等に話すことができる。この水平な関係性が寛容さであり、此花が歴史的にいろいろな立場の人や異文化を受け入れてきたからこそ育まれてきた感性だと思うし、アーティストやクリエイターを惹きつける魅力のはず。」と、辺口さん。

新たなムーブ「ミューラルタウンこのはな」

梅香堂と黒目画廊ができたのが2010年前後、「OTONARI」は解決が難しい事情で撤退を余儀なくされましたが、辺口さんがディレクションし、街の案内所としての機能を引き継いだホテル「The Blend Inn」が2017年に建設された。コロナ禍にホテルが撮影スタジオに変わるなど、目まぐるしい変化があるなかで、2023年からは新たなムーブが梅香に生まれています。

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辺口さんが運営するギャラリー「黒目画廊」

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ミューラル(壁画)をプロデュースするWALL SHAREが梅香を起点としたMURAL TOWN KONOHANAプロジェクトをスタートさせたのが2023年。それを機に梅香が新たに動き始めました。日本が壁画制作の規制が厳しく、「描けない国」であるという逆説的な認識が、逆に海外の著名アーティストの「描きたい」という強い制作意欲を喚起し、すでに20カ国以上のアーティストが参加しています。日本が浮世絵や漫画などの絵で世界からの敬意を集めていたことを再認識できる機会にもなっています。

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万博が終わり、IRの開発も進む此花区。大規模な開発の狭間で梅香は、個人の創造性と、この街が持つ「寛容さ」を失わず、過去と未来が交差するユニークな文化を発信し続けています。