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【天童市】移住者インタビュー 寺田さんご夫妻 /「大久保そば」の新しい日々

インタビュー
2026.02.03
【天童市】移住者インタビュー 寺田さんご夫妻 /「大久保そば」の新しい日々
(4人目のお子さんをだっこしながらインタビューに答えてくださった光佳里さん。大久保そば店内にて。)

天童市の中心部にあり人間将棋でも有名な舞鶴山。その麓にある「大久保そば」の店内には、百年を超える古民家ゆえに醸しだせるのであろう、ゆったりとした時が流れている。と、同時にまた、モダンな雰囲気をあわせもった空間でもあり、実際この店は創業から半世紀を迎えようとしている老舗そば店でありながら、挽きたてで香りたつコーヒーも提供してくれるという、とてもカジュアルで居心地の良いお店である。

今回のインタビューでは、この「大久保そば」の寺田真也さん、光佳里さんご夫妻にお話を伺う。おふたりは2024年の春に、横浜から天童市に住まいを移した移住者。そしてこの「大久保そば」は、光佳里さんのおじいさんが創業したお店であり、2代目であるおとうさんが長く営まれてきたお店でもある。いま3代目としてこの店の味を受け継ぎながらも、新しいものをつくりだそうとしているおふたりに、移住まわりのことを話していただいた。

【天童市】移住者インタビュー 寺田さんご夫妻 /「大久保そば」の新しい日々
(大久保そば店内の窓際のカウンター席。外を眺めながらの食事も楽しむことができる。)

== 横浜から天童へ、移住を決めたきっかけはなんだったのでしょう?

光佳里さん:この「大久保そば」という店を継ぐため、です。ここは長く父がやってきた店で、でもさすがに年齢を重ねて疲れてしまったのか、父から「もう店をやめる」という話を聞いたとき、それはとても「もったいない」し、「だったら継ぎたい」と思いました……それを決意したのは夫ですけど。

真也さん:これまで何度も食べてきましたが、ほんとうに美味しいそばだったので。わたし自身はまったく違う仕事に就いてきましたし、そば打ちの経験もありませんでしたが、ここでそば屋をやってみたいという想いがありましたし、また一番上の子が小学校にあがるときだったので、移住するタイミングとしても良かったということもありました。

【天童市】移住者インタビュー 寺田さんご夫妻 /「大久保そば」の新しい日々
(そば職人として励む日々を送る真也さん。「そばは同じ材料、同じ分量でも、気温や季節によって味が変わるとても繊細なもの。毎日勉強させてもらっています」と語る)

光佳里さん:ただ、父からは、店を継ぐ条件として「これまでと同じ店をやるのではなく、あなたたちのやりたいようにリニューアルしてこの店をやりなさい」と言われました。なので、これまでよりももっと風通しの良い雰囲気をつくろうとしたり、抹茶やスイーツを出せないかなと考えたり、いろいろとやっているところです。このごろは、若い世代のお客さんや小さなお子さん連れのご家族も増えていて、客層が少しずつ変わりつつあるかもしれません。

【天童市】移住者インタビュー 寺田さんご夫妻 /「大久保そば」の新しい日々
(入口カウンターにコーヒーマシーンがあったり、歴史があるのにどこか新しさも感じられたり、という店内。)

== 実際に移住してみて、天童というまちの住み心地をどのように感じていますか。

真也さん:小さな子どもが4人いるので、ちかくにある「げんキッズ」という子育て支援施設や「わくわくランド」のような遊技場を無料で利用できるのはとても気に入っていて、子育てする環境として非常に充実しているまちだと感じています。また、住まいの近くに大型の商業施設があると子育て家族にとってはなにかと便利で、イオンモール天童があることなどもわたしたちにとってはありがたいです。

光佳里さん:休みの日には家族みんなで遊びに行くことが多いのですが、山形県内で遊べる無料の子育て支援施設はほぼすべて回ったと思います。施設それぞれに特徴があるのも面白いですし、その地域地域で食文化が違うことを感じられるのもたのしいです。
天童でのお気に入りというと、天童高原です。わずか20分ほどの距離ですぐに行けるというアクセスの良さがありますし、山の上なのでとても気持ちがいいし、キャンプやアスレチックも楽しめますし。年に何度も遊びに行っています。

== 移住に際して手こずったことや難しかったことはありますか。

光佳里さん:子どもの幼稚園を決めることと生活環境を整えること、そしてかかりつけ医を探すこと、です。
たとえば、横浜にいながら天童の幼稚園を探そうとすると、ほんとうはいちいち見学して検討したいところですが、そんなことをすれば交通費がものすごくかかってしまいますから、電話するかホームページを調べるかしかありません。それを手がかりにしつつ、あとは直感で決める、という感じでやるしかありませんでした。また、かかりつけ医を新たに見つけるというのも大変でした。とくに持病があるわけではないのですが、新しい病院に行けばそのたびにこれまでの病歴をいちいち細かく伝えなければならなかったり、はじめての病院だと待ち時間がすごく長くかかったり……。さいわい、この近くに新しい病院ができたので、そこに通うことができるようになって、ようやく落ち着きました。

== 最後に、天童に移住して来て良かったな、と思うことを教えてください。

光佳里さん:子どもたちに対する周りの人たちの視線がやさしいということです。地域のおじいさんおばあさんも、お店に来てくださるお客様も、道を歩いていても、「かわいいわね」と声をかけていただくことが多くて。なんだか、みんなで子育てしているような感じがします。

わたし自身は、天童に来てから車を運転するようになりました。ずっとペーパードライバーだったんですけど、さすがにこっちに来たら車を運転しなきゃいけないという感じで。雪道なんか最初はとても不安でしたけど……、でも、運転できるようになったこと自体は嬉しかったです。

あとは、自然のものを食べられる、ということですね。野菜などは父と母が自家栽培しているものでまかなえるので、本当にフレッシュなものだけを子どもに食べさせてあげられるということはとてもいいな、と思っています。お店で使っているお野菜などもほとんどがじぶんたちの畑で採れたものです。これは本当に最高だな、と思っています。

【天童市】移住者インタビュー 寺田さんご夫妻 /「大久保そば」の新しい日々

【天童市】移住者インタビュー 寺田さんご夫妻 /「大久保そば」の新しい日々
(味が良いだけでなく、見た目にも美しい「板そば」、そして「とりそば」。)

【天童市】移住者インタビュー 寺田さんご夫妻 /「大久保そば」の新しい日々

大久保そば
https://www.instagram.com/ookubo_soba/

写真:渡辺然、佐藤鈴華(STROBELIGHT
取材・文:那須ミノル(real local 山形)