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机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」

インタビュー
2025.12.08

この記事は、普段使っている仕事場の机から、その人の生業を探っていく連載企画です。


同じ職業でも、机の上に並んでいる道具やモノは人それぞれ。
ちょっとプライベートな場所感もあって、つい覗き見たくなりますよね。
漫画家さんの仕事場の映像がテレビに映ったら、一時停止してまで机の上を見てしまいます。 

そんな“机の上”をテーマにした連載の2回目。 
机の上を観察すれば、その人の営みが見えてくる。

さて、今回訪ねるのは、どんな机の上でしょうか。

 

シンプルな机の上

机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」           

パソコンが2台と文房具類、そしてカメラというとてもシンプルな机ですね。
カメラがあるということで、今回訪ねたのはフォトグラファー 北野隼人さんの机です!

 

カメラマンさんの個人的なイメージだと、スタジオや現場撮影をするので机の上には撮影した写真やカメラがたくさんあると思ってたのですが、かなりシンプルですね!
このシンプルな机でも気になる箇所がいくつもあります。 

まずこちらのカメラ!…といきたいところですが、先に2台並んだパソコンから。

 

2台のパソコン、それぞれの役割

ノートパソコンは持ち運び用、デスクトップはスタジオ作業用になっていて、Apple製品で揃えているのはモニターの色を合わせるため。
写真を扱う仕事において、お客さんに見せるときに環境ごとに色がズレてしまうのは大きな問題。できる限り同じ色で届けられるように気を配っています。

正確さを担保するための“こだわりの選択”が机の上にも表れています。

 

パソコンの裏に貼られた付箋

机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」

そしてパソコンでもうひとつ気になったのは、パソコンの裏に貼られた付箋。
画面がある前面に貼る人はよくいるのですが、裏に貼っている人は初めて見ました。

 

「横にある撮影スタジオの動線的にパソコンの裏のほうが見やすいんです(笑)」

机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」
▲左側は撮影スタジオと繋がっている

 

机の上だけでなく、スタジオとつながる空間ならではの工夫からも、北野さんの仕事スタイルが見えてきますね。

 

意外な主役はセロハンテープ?

机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」

ほかに気になっていたのが、こちらのセロハンテープです。 
カメラマンの机といえばカメラやレンズが主役になりそうですが、北野さんの机では、このセロハンテープが目立つ場所に置かれていました。

そう、このセロハンテープこそが、北野さんにとって特に重要であり「机の上で一番のこだわり」なのです。
その理由は、北野さんならではの撮影スタイルにあります。 

撮影小物や背景を、合成ではなく“実際に作る”のが北野さん流。

 「どんなに性能の良いカメラを使っても、リアルな体験から生まれる表情には敵いません。だからこそ手を動かして小物を作ることで、被写体が実際にその瞬間を楽しみ、自然な笑顔が写真に宿るのです」 

こうした工夫の積み重ねが、写真に独自の温度感を与えているのでしょう。
セロハンテープは、“リアルな体験から生まれる一枚”を引き出すために欠かせない存在なのです。

机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」
▲実寸サイズで1つ1つ手作りしている
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▲記念フォトアルバム

 

 

「誰でも撮れる」目線を大切に

机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」

 

そして最後にお待ちかねのカメラについてです。
カメラマンの愛用機材といえば大きくて重厚な機材を想像しますが、北野さんの机に置かれていたのは、意外にもコンパクトなカメラでした。

「これはプライベートのカメラなんです。写真教室をやるとき、受講者と同じ目線で扱えるように、あえて本格的すぎないものを使っています。プロとして業務用カメラを持ち出すこともできますが、“誰でも撮れるカメラ”で臨むことで、自然と会話やコミュニケーションが生まれるんです」

北野さんがカメラを手にしたのは20歳の頃。最初は趣味として撮り続け、40歳まではごく普通のサラリーマンでした。しかし、趣味として向き合ってきたカメラが、やがて副業となり、そして本業へと形を変えていきました。

カメラをきっかけにした会話は毎月のように生まれ、写真を媒介にしたつながりが積み重なっていきます。

北野さんにとって、写真は単なる記録ではなく「人と関わりをつくるための道具」であり、机の上に置かれたこの一台のカメラから、営みと日常のすべてがつながっているのです。

机から生業をみる:2回目「フォトグラファー:北野隼人さん」

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