【北九州】流行りよりも文化を信じて。半世紀を超えて愛され続ける『ドン珈琲館』
北九州市立大学 地域創生学群 片岡ゼミの編集チーム「つづる。」が身近な北九州の魅力を自分達自身の言葉で綴り、みなさんにお届けしていきます。
みなさんこんにちは。「つづる。」メンバーのしんじです。
北九州の喫茶店をめぐり、店の空気・音・香りをそのまま記録する企画です。

今回訪れたのは、ドン珈琲館 小倉店。
開業は1981年。小倉駅から徒歩4分ほどの長崎街道沿いに佇む喫茶店だ。
店主の天野さんは、この仕事を始めて58年になる。
22歳のときに古賀市で1号店を構え、現在はその店を奥様に任せているという。
小倉の店は、今も変わらず天野さん自身がカウンターに立つ。

店に入ると、スピーカーから流れるジャズと、カレーの香りが迎えてくれた。
昼時を過ぎた店内には、
コーヒーの匂いも柔らかく混じり合い、落ち着いた空気を作り出していた。
食器の音やお客さんの会話も、心地いい。
「記事を書きたいんです」と伝えると、天野さんは快く承諾してくれた。
それを聞きつけたお客さんが、笑顔で話しかけてくる。
「いい雰囲気だよね。今どき、こういう店ないよ。頑張ってね」
その言葉に、この店が愛されている理由が詰まっている気がした。

お客さんのカレーを撮らせてもらった。
私はケーキセット(700円)を注文。


テーブルには珈琲豆が敷き詰められていてかっこいい。
見上げると、看板インコの弥太郎くんがこちらを見つめていた。
お客さんからは「剥製かと思った」と言われるほど静かだが、その存在感は圧倒的。
天野さんは「監督だ」と笑う。
なんと、弥太郎くんと一緒に映画に出演したこともあるそうだ。


ランチタイムが終わり、店内には私と天野さんの二人だけ。
「58年も凄いですね。」
そう私が言うと
天野さんは
日本の“茶室”にあると語った。
武士も町人も身分に関係なく、お茶を振る舞う日本の文化だ。
時代は移り変わり、インベーダーゲームのような流行もあった。
けれど、文化には流行も衰退もない。
その“変わらないもの”を信じてきたからこそ、半世紀を超えて続いているのだろう。
私は胸が震えた。
この店は、ただの喫茶店じゃない。
時代を越えて、人が静かに集う茶室なのだと。
(文・写真:しんじ)
※この記事で紹介している価格は取材時のものです。お店の状況により、変動する可能性がございます。
| 備考 | ご予約・お店お問い合わせは、下記お問合せフォームではなく、店舗インスタグラムへ直接DMをお願いいたします。 |
|---|---|
| 名称 | ドン珈琲館 小倉店 |
| 住所 | 802-0002 |
| 営業時間 | 8:00〜18:00 |
| 定休日 | 日曜日 |
| アクセス | JR小倉駅より徒歩で約4分 |














