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ネオ・フォルクローレって、なに?

 「フォルクローレ」と聞いて、どういう想像をする人が多いのだろう。恐らくはアンデスのあの素朴な音楽、例えば「コンドルは飛んでいく」や「花祭り」や、ケーナの素朴な響きやチャランゴの華やかなでいて悲しい音色を、まずは頭に浮かべるのではないだろうか。それで大筋は外れていない、と言って良いと思う。実はブラジル音楽が好きなリスナーの多くは所謂「フォルクローレ」が苦手だ。それはブラジルの音楽が、国内外の多様な音楽とミクスチャーを繰り返すことで、常に洗練された音楽へのヴァージョンアップを志向するのに対して、フォルクローレの土着性や音楽的な純血性は、それと対局のものだからだ。

 それでは「ネオ・フォルクローレ」はどうだろう。「ネオ」の部分は「コンテンポラリー」であったり、「モダーン」であったり、もともと日本だけの便宜的な呼称だと思われ、いかにも日本的だが、どれが正しいという定義が無い。統一されていないし、だれも統一する立場の者もいない。基本的には「ネオ」を使えば、他の呼称もほぼ同義と思われるので。ここでは「ネオ・フォルクローレ」を使わせていただく。では「ネオ」がつくとつかないでは何がどう違うのだろう。

 「ネオ・フォルクローレ」と呼ばれる音楽を演奏するアーティストは、ほとんどがアルゼンチン人で、もちろん基本的に「フォルクローレ」を愛して、それを音楽のベースとしている。しかし彼らは、クラシック、ジャズ、ロック、ブラジル音楽など様々な音楽をリスナーとして聞いて育った世代であり、音楽的記憶として彼らの体の中に多様な音楽が内包されている。したがって自分の音楽を創造するときには、「フォルクローレ」のみに縛られず、自由かつ自然に音楽的混合が形成される。結果として音楽的に非常に洗練された「新しいフォルクローレ」が創造されるのだ。このためネオ・フォルクローレは、ジャズやブラジル音楽のリスナーにもすんなりと受け入れられやすいのである。もちろんどこまでが「フォルクローレ」で、どこからが「ネオ・フォルクローレ」という明確な基準は無い。かといって、彼らが音楽の根幹として伝統的なフォルクローレ要素を全くなくしてしまったので、それはもはやネオ・フォルクローレとは言えない。フォルクローレという太い幹があって、そこから発展していく純粋なる音楽こそがネオ・フォルクローレなのである。

 さて現在南米音楽のファンに熱い注目を浴びるネオ・フォルクローレだが、こういう旬の音楽というのは、都会でしか公演がないのが通常だ。しかしありがたいことに、山形はそんなネオ・フォルクローレのアーティストを、日本の地方都市の中では最も頻繁に招聘することが出来ている。

 10月には、シーンの中心的存在であるカルロス・アギーレが、4回目の山形公演を行う。

ネオ・フォルクローレって、なに?

 今回はネオ・フォルクローレ記念碑的名盤、「Luz de Agua」の主要メンバー、セバスティアン・マッキとのトリオでの来県だ。カルロス・アギーレが主にベースを担当するというサプライズもある。

ネオ・フォルクローレって、なに?

 そして12月にはアルゼンチンを代表するギタリスト、キケ・シネシが世界的ケーナ奏者、岩川光とデュオで個人としては5回目、デュオとしては3回目の来県を果たす。

ネオ・フォルクローレって、なに?

 どちらも東北以北では山形だけの公演で、山形の音楽ファンを必ずや唸らせる、素晴らしい公演になると思う。期待してください。

セバスティアン・マッキ・トリオ / カルロス・アギーレ ジャパン・ツアー2019

キケ・シネシ 岩川光 ジャパン・ツアー2019 山形公演

Luz de Agua」試聴