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食彩やまがた12カ月 二〇二〇年 如月/今月の旬「トレヴィーゾ・タルティーヴォ」

 このコーナーでは今が旬のやまがたの食材にフォーカス。その天の恵みを育んだ風土や歴史、ひとの営みにも手をのばしていきたいと思います。

 今月の食材はトレヴィーゾ・タルティーヴォ(以下、タルティーヴォ)。菊の花びらのような不思議なかたちに、あざやかな深紅と純白のツートンカラー。そのルックスから本場イタリアでは「冬の花」と称される高級野菜です。

食彩やまがた12カ月 二〇二〇年 如月/今月の旬「トレヴィーゾ・タルティーヴォ」

 お話しをうかがったのは、西村山郡河北町の牧野聡さん(47歳)。まったくの手探り状態だった2011年から栽培をつづける国産タルティーヴォの第一人者です。

 この野菜が高価なのは、まず収穫期が短く販売期間が限られること。そしてその栽培に手がかかるため、希少性が高いのです。夏に種植えされたタルティーヴォは立派な株になるまで畑で育ちます。十分に生育した晩秋のころ、こんどは根もとから引き抜かれ、陽射しをさえぎるシートに覆われたハウスへ移されます。その内部は水底まで浅い水が張られており、タルティーヴォは土からプールへと成長の舞台をかえます。

 遮光状態での水耕栽培は3週間前後。その間、光合成の影響を受けないため、植物を緑色にするクロロフィルの生成がとまります。ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラの違いとおなじですね。タルティーヴォの場合、外側の緑がかった葉に畑で陽を浴びた名残りをとどめます。しかしそれをむいてしまえば、あざやかな赤と白が顔をのぞかせます。

 イタリアの高級野菜でありながら、山形産タルティーヴォは日本を代表するイタリア料理の名店でも重宝がられ、いまでは香港へ輸出されるほどに。

 牧野さんは昨年、イタリアはヴェネト州トレヴィーゾ県を訪ねました。本場のタルティーヴォから感じたのは栽培法も仕上がりの姿や味も、山形産とのおおきな違いはない……

「栽培の大きなポイントはふたつ。畑で生育させる最終段階で霜がかぶるほど冷気にさらすこと。もうひとつは水耕に地下水を使うことです」

 本場トレヴィーゾの地は夏あたたかく高湿、冬はたいへん寒い。それは河北町の気候と重なります。また朝晩の冷え込みが厳しく、寒暖差が大きいこともこの作物に適しているそうです。そしてヨーロッパといえば硬水のイメージがありますが、トレヴィーゾの生産者が水耕栽培につかっていたのは軟水の地下水。かたや河北町といえば、牧野さんいわく「掘れば水が湧く」ほど地下水に恵まれているそうです。

 山形産タルティーヴォは2月いっぱいが旬。レストランや青果店でみかけたら、冬に咲く花を眼と舌で味わってみてください。

 またワインビストロの店主でもある筆者のおすすめレシピも紹介しておきます。(次回は3月上旬の掲載予定)

 

今月の旬菜メモ
トレヴィーゾ・タルティーヴォ
キク科の一年草。正式名称は「Radicchio Rosso di Treviso Tardivo」。

食彩やまがた12カ月 二〇二〇年 如月/今月の旬「トレヴィーゾ・タルティーヴォ」

Radicchio Rosso」は赤いラディッキオ(チコリの仲間)。「Treviso」はイタリアヴェネト州のトレヴィーゾ産をしめし、「Tardivo(日本語表記にはタルティーヴォとタルディーヴォの2種あり)」は晩生種を意味する。まとめると「トレヴィーゾ産晩生種の赤ラディッキオ(別に早生のプレコーチェという品種も)」。トレヴィーゾ産のただし書きがつくのは、国が認定する保護指定地域の作物である証し。

 牧野さんが理事長を務める「かほくイタリア野菜研究会」のタルティーヴォは、甘味と苦味の成分であるグルタミン、セリン、プロリンの含有量がイタリア産より116%多いとの分析結果が得られている。

 タルティーヴォをはじめとする野菜の情報や購入については、下記「かほくイタリア野菜研究会」公式HPへ。https://kahoku-italia-yasai.com

 

ワインビストロのレシピ1
「タルティーヴォのグリル」

 縦に半割したタルティーヴォの断面にオリーブオイルを塗る(平皿などにオリーブオイルをひいておき、断面をやさしく押しつけると簡単)。中火のグリルパンか魚焼き網に断面側を置き、美味しそうな香りが立つまで焼く。これにエクストラヴァージンオリーブオイルと天然粗塩、好みでレモン汁をふりかける。

食彩やまがた12カ月 二〇二〇年 如月/今月の旬「トレヴィーゾ・タルティーヴォ」

 写真はそこからの発展型としてゴルゴンゾーラをのせてオーブン焼きしたもの。青カビ以外にもミルクの風味が濃いモンドールなどのチーズもおすすめ。

ワインビストロのレシピ2
「タルティーヴォのサラダ」

 粒マスタード大さじ1、荒く砕いたピーナッツやクルミ大さじ1、白ワインヴィネガーと砂糖を小さじ1。以上をまぜあわせ、エクストラヴァージンオリーブオイルでのばしたものをドレッシングとする。

食彩やまがた12カ月 二〇二〇年 如月/今月の旬「トレヴィーゾ・タルティーヴォ」

 こんがりと焼いた牛や豚、白身魚のつけあわせに。鯛などの刺し身といっしょに食べても美味しい。