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コミュニティを育むサードプレイスをつくりたい/小林ななみさん

2020.05.21

コミュニティを育むサードプレイスをつくりたい/小林ななみさん

仕事で定期的に山形に通っている。
地元の仲間や家族と交流が深く、わりと頻繁に帰省している。
学生時代を山形で過ごし、第二のホームのように感じている。

「観光」でも「移住」でもない、定義しがたくも確かに存在する山形への思いと関係性。「関係人口」という言葉があるように、地域や地域の人々と多様に関わる人々が、まちづくりのキーパーソンとなり、まちを再発見する視点をもたらすこともある。

首都圏や全国に散らばる、“山形との関係”を紹介するインタビューをお届けします。ライフスタイルが大きく変化した今、改めて衣食住、そして地域との関わり方を見直す人が増えているかもしれません。人々のリアルな声を通じて、山形との関わり方とその可能性を考えていきたいと思います。

ゲスト:小林ななみさん(twitter:@nanamippu_
居住地:神奈川県逗子市
職業:フリーランス/プレースマネージャー
ステータス:2拠点居住(Uターン)の準備中

コミュニティを育むサードプレイスをつくりたい/小林ななみさん
神奈川県(逗子・鎌倉)在住の小林ななみさんと、オンラインでのインタビュー。

──山形との関係は?

生まれは東京都で、小学校4年生のときに山形に引っ越しました。高校卒業まで山形に住んでいて、青春時代を過ごした山形が自分の故郷だと思っています。大学進学を機に上京したのですが、当時からいつかは山形へ戻るつもりでいました。家族はいまでも山形の天童市に住んでいて、新型コロナで緊急事態宣言が出る前は月に1回くらいのペースで帰省していました。

──山形のどんなところに魅力を感じていますか?

山形の自然が大好きです。お気に入りのスポットは、面白山紅葉川渓谷と山寺。四季がはっきりしていて、景色の変化も大きいし、世界一美しい場所だと思っています。ほかには、山形国際ドキュメンタリー映画祭や天童木工、佐藤繊維を始めとするニット業など、世界に突き抜けたクリエイティブがあるところ。一方で、新しいビジネスやカルチャーについては、フロンティア感もあり挑戦しがいがある土地なのかなと感じています。

コミュニティを育むサードプレイスをつくりたい/小林ななみさん
山寺
コミュニティを育むサードプレイスをつくりたい/小林ななみさん
紅葉川渓谷

──現在はどのようなお仕事をされているのですか?

鎌倉にある企業支援施設「HATSU」で働いています。そこにはコワーキングスペースがあり、コミュニティマネージャーとして入居者のサポートをしたり、イベントを企画したり、コミュニティづくりを軸に施設の運営に携わっています。

──山形に拠点を持ちたいと思ったきっかけは?

大きなきっかけは、2019年11月に開催された「第3回リノベーションスクール」でした。以前からまちづくりに興味があり、学生時代はフィリピンのスラム街でのコミュニティ開発のプロジェクトに関わっていました。そして、2018年に高架下の空き店舗や空き倉庫を舞台に開催された「高円寺×阿佐ヶ谷 映画祭」に参加して、遊休不動産の可能性を感じていました。

前職では海外向けの人材派遣会社で働いていたのですが、やはり自分もまちをつくる実践者になりたい思いが強くなっていく中で、リノベーションスクールの存在を知り、即座に参加申し込みをしました。

スクールのキーワード「まちへダイブ」という言葉がグッと心に刺さりました。実践的なプログラムで、まちへ出て近隣の商店街をヒアリングして声を集めながら事業計画に落とし込んでいく。高校生までは七日町で遊んでいたけれど、まちの人とコミュニケーションする機会はありませんでした。いざ地元の人の話を聞いてみると、みなさんの地元愛を直に感じて、まちにはどんな要素が必要なのか、まちのと関わり方や視点を学ぶことができました。

コミュニティを育むサードプレイスをつくりたい/小林ななみさん
第3回リノベーションスクールの様子。

参加者には芸工大や山形大学の学生たちもいて、現役生や卒業生がまちのプレーヤーとなってまちを動かしていることを知りました。私もずっと山形に拠点を持ちたい、いつか自分で事業をやってみたいという思いがあって、「こんなに先に進んでいる人たちがいるんだ。私も負けてはいられない!」と思いました。

リノベーションスクール後から、自分で事業を始めてみようと動き始めています。事業と連動して、2拠点生活をスタートさせるイメージです。

──どのような事業なのですか?

山形を訪れた人と地元の人が出会える拠点であり、誰かにとってのサードプレイスをつくりたいと考えています。定額制住み放題のウェブサービスを利用して、いろんな人が滞在できる居住空間と、カフェやバーなど地元の人も立ち寄れる場所をセットで展開できたらいいなと考えていました。

スクールのサブユニットマスターの片桐賢久さんのサポートで天童市の空き物件を見つけて、具体的な事業にしようと計画を練っていたのですが、その矢先に新型コロナが発生して…。ITやテクノロジーをうまく取り入れながら、ビジネスモデルを再検討して仕切り直していきたいと思います。私のほかにもいま東京で働いている高校の同級生が、地元に貢献したい、きっかけがあれば山形に関わりたいと話していて、部分的にでもプロジェクトに関わってもらえたらいいなと思っているんです。

私自身、新型コロナの現状を受けて、生活の質を見直すようになりました。ささやかながら家庭菜園を始めて、自分の食べ物を自分でつくる喜びを感じたり、リモートワークになって出勤の必要性を問い直したり。以前よりもっと具体的に2拠点居住がイメージできるようになってきました。

「Think globally, act locally(地球規模で考え、足元から行動せよ)」という考え方を大切にしています。事態が落ち着くまでは準備期間にあてて、2拠点居住と事業の実現に向けて少しずつ前に進んでいきたいと思います。