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【中ノ沢こけし】日本橋のキャリアウーマンから、こけし職人に!/小林澄子さん

インタビュー

2020.12.22
【中ノ沢こけし】日本橋のキャリアウーマンから、こけし職人に!/小林澄子さん
小林澄子さんと、中ノ沢こけし

後継者不足が問題となっている日本の伝統工芸。猪苗代町に伝わる「中ノ沢こけし」も、そのひとつだ。

小林澄子さんは、そんな中ノ沢こけし職人の弟子として稽古に励んでいる。東京日本橋のオフィス勤務から、こけし職人へ。ユニークな経歴を持った澄子さんに話を聞いた。          

 

元キャリアウーマン、現こけし職人の弟子

以前は、東京にある外資系企業に勤めていました。10年ほど広報の部署で働いて、このまま今の会社で働き続けるか、別のフィールドでチャレンジしようか迷っていました。

そんな中出会ったのが、中ノ沢こけしでした。
元々こけしが好きだったんです。顔立ちがユニークで、頭が大きくて胴が細いというアンバランスな感じに惹かれ、すぐにお気に入りのこけしになりました。

こけしには系統があるのですが、中ノ沢のものは職人さんたちの個性が色濃く出ているので見ていて楽しいです。

【中ノ沢こけし】日本橋のキャリアウーマンから、こけし職人に!/小林澄子さん
澄子さんが初めて買った親方のこけし。中ノ沢こけしは大きな目鼻が特徴で「たこ坊主」の愛称で知られている。

銀座の木工芸品を扱うお店に通っていて、ある時たまたま来ていた職人さんと話していると「こけし作りに興味があるのなら、実際に職人さんに会いに行ってみたら?後継者が少ないから、きっと喜んでくれると思うよ」と言われました。

そして出会ったのが、いまの親方である柿崎さんです。

【中ノ沢こけし】日本橋のキャリアウーマンから、こけし職人に!/小林澄子さん
師匠の柿崎文雄さん(右)

いま日本では「SDGs」が謳われているじゃないですか。でも、柿崎さんにとって「持続可能な社会」というのは特別でも何でもない。

こけしの材料となるミズキを伐採して、こけしを作るときに出る木屑は畑に撒き、野菜を育てて収穫する。調理した時に出る生ゴミは、手作りのコンポストに捨てて肥料として畑に撒く。

自然とともに暮らし、作り出したもの全てを無駄にせず、生活の中で循環させる。

そんな丁寧な暮らしぶりに共感しました。この人についていってみたい!と思ったんです。

【中ノ沢こけし】日本橋のキャリアウーマンから、こけし職人に!/小林澄子さん
伐採の様子。Instagram「柿崎文雄工人と弟子の小林」@kokeshi_cultureより。

その場で弟子入りをお願いしたら、私の思いが伝わったのかOKしてくれました。

始めは、平日は東京で働いて土日に猪苗代町へ行くという生活が続きました。仕事と修行を両立し続けるのは難しく、こけし作りに専念したいと思ったので、仕事を辞めて移住しようと決めました。

会社の同僚に退職の理由や次の就職先について説明したら、大抵の人に「は?」って言われたんですけど、最終的には「応援してるよ!」と温かく送り出してもらいました(笑)

こけし職人の弟子の生活

よくこけしを買っていて値段も知っていたので、それ一本じゃ生活が成り立たないことは分かっていました。

現在、平日は地域おこし協力隊として役場や観光協会で働いていて、土日を修行の時間に当てています。朝7時前には工房に入り、17時半まで、みっちり。

親方が挽いたこけしは、やすりがけが必要ないくらい綺麗に仕上がるんです。私はやすりをかけなければなりませんし、大きさも形も整いません。

同じものを作る続けることがいかに難しいか、実感しています。親方が作業している様子を、スマホで動画を撮って研究しています(笑)

【中ノ沢こけし】日本橋のキャリアウーマンから、こけし職人に!/小林澄子さん
澄子さんから見た、工房で作業中の師匠。
「職人」を職業として確立させたい

福島市の土湯温泉には土湯こけしが売られているのですが、中ノ沢温泉に行っても中ノ沢こけしが買える場所がほとんどなかったんです。発祥の地なのに買えないって、ちょっと寂しいなと感じました。

職人さんと温泉街の方々との関係が昔より希薄になっているのではないかと感じ、何か私にできることはないかなと考えました。

そこで、まずは親方と一緒に、親方のこけしの値段表を作って旅館に渡したり、こけしをサンプルとして配布したりしてみました。

その甲斐あってかいくつかの旅館にお声がけいただき、こけしを置かせていただくことができました。他の工人さんのこけしもたくさん並ぶようになるといいなと思っています。

まだまだ修行中の身でおこがましい話ですが、私は「職人」を生業にできる仕組みを作り、その仕組みをシェアできればと思っています。

残念ながら職人一本で食べていくことは難しく、こけしの工人さんも、兼業の人がかなり多いようです。

福島県だけでなく日本全国にいろんな職人さんがいるので、誰かひとり・何かひとつ成功すれば良いというのは違う気がしていて。

働き方が多様化する現代においては、副業を持つことが当たり前になったり、働く場所が会社だけでなくなったりと働き方もさまざまです。

伝統工芸品の制作を生業の一つとして選択する人が増えたら素敵だなと思いますね。

URL

Instagram  kokeshi_culture「中丿沢こけし 柿崎文雄工人と弟子の小林」