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【福井県池田町】ホーリーバジルが紡いだ人の縁/杉茂樹さん

移住者の声

2021.09.30

福井の地域情報誌URALA編集長が、福井県内を飛び回り、気になる人にインタビューしていく企画です。第1回目は福井県池田町に移住した、ホーリーバジル生産者の杉茂樹さんです。

スーパーなハーブに魅了された

今、にわかに注目を浴びている「ホーリーバジル」。野趣あふれる中に清涼さが漂うインド原産のハーブは、免疫促進や抗ストレス作用があると言われているポリフェノールをはじめ、体の調子を整える効果があるとされています。また、世界で最もよくオゾンを発生させる植物で、空気浄化作用があるとされています。サンスクリット語でトゥルーシー(比類なきもの)と言われる所以が、そこにあるのでしょう。

【福井県池田町】ホーリーバジルが紡いだ人の縁/杉茂樹さん
杉さんは県内のいろんな方にホーリーバジルの育て方を伝えています

そのホーリーバジルを福井県池田町で生産している、千葉県から移住して7年目の杉茂樹さん。町の中心部から少し離れた地区の段々畑で多くの人達と、楽しく汗をかいています。

杉さんの働いていた千葉県の障がい者福祉施設では、利用者さんの社会活動の一環として「土と共に」というプログラムを取り入れていました。その中で杉さんが担当していたのが、自然農法の野菜栽培。その活動の中で知り合った栃木県益子町の無肥料栽培に見学に行った際、出されたお茶に感動したのです。
「体の奥にスーッと染み込んでいく感覚に驚いたのです。聞いたところ、それがホーリーバジル茶でした」。

早速分けて頂いた10粒の種を施設の畑で育て始めることになります。収穫が終わり、皆で葉と花の選別をやっていると不思議と落ち着いた時間を過ごせたそうです。「オゾンを発生させたり、空気を浄化させる力があるのかも知れませんね」。

池田町の環境に魅了された

【福井県池田町】ホーリーバジルが紡いだ人の縁/杉茂樹さん
ここでしか出ないホーリーバジル茶。花も入っていて風味が豊かです

そしてこのホーリーバジルが、杉さんと池田町を繋げました。千葉県在住に池田町出身のご夫婦と知り合った際、愛飲していたのがホーリーバジル茶だったのです。「それ、私と施設の皆で育てたものです」と伝えたところ、そのご夫婦はとても驚いたそうです。不思議な縁で繋がり、「私達はもうすぐ福井に戻るけど、池田町でホーリーバジルは育たないかなぁ、1度見に来てもらえないかなぁ」と相談がありました。1年後ご夫婦は池田町に戻ったのですが、千葉県を訪れる度に、お土産として池田町の小冊子やパンフレット等を持ってきて説明してくれたそうです。何度も何度も熱心なアプローチに「水海地区の田楽・能舞が行われる日に行こうと、2月15日を選んだんです」。

杉さん夫婦を迎えたのは、想像を超える雪、雪、雪。「本当に驚きました。自分の目線まで雪の壁があったんですから」。車で向かった池田町、寒いのはわかっていたけれど、ふと窓を開けたくなり、風を感じたとき、さらに驚いたのです。「なんて空気が美味しいんだろうって」。その時は、移住の話さえ何も考えていない状況でした。むしろ移住をしたかったのは奥さまのほう。杉さんも千葉での仕事は定年後の嘱託としての勤務。その気があれば移住もあり、とは心の奥底では思っていました。「池田町の皆さんがとても優しくて、畑や機械も無償で貸して頂けたんです。あと家があればとは思っていました。さすがにないな、と諦めていたら、滞在2日目の最後の日に住む家が見つかったんです。もう偶然としか言いようがありません」。偶然、と杉さんは言いますが、まるで引き寄せられるように、流れがあるように、池田町での暮らしは、そのような事が次々と起きていきます。

魅了された二つが重なったとき

【福井県池田町】ホーリーバジルが紡いだ人の縁/杉茂樹さん
紫の小さな花をつけるホーリーバジル。ドライフラワーにすると香りも立ちます

育てるならば自然農法でホーリーバジル。それは決めていました。しかし杉さんも雪国で育つかどうかは未知の世界。まずは借りた畑3反分で育ててみたら、心配をよそに見事に花を咲かせてくれたのです。ならばと、自分の気に入った場所で育てたいと町の中を巡ります。そして、奥さまと二人して一目で気に入ったのが、今の畑のエリアでした。町を見下ろす高台の畑を1反だけ借りて育てたのですが、育ってくれたホーリーバジルは杉さんの想像の上をいくものでした。
「小ぶりですが香りが違うんです。味も濃くて。パウダーを作ったら薬草としての葉の色と香りでした。千葉と何が違うのかと言われても難しいんですけど、空気と水と土はもちろんですが、昼夜の気温差が濃縮された味を作るるのかなと思っています」。翌年は3反借りれたらと思っていたら、9反も貸してもらえることに。最初は3000本だったホーリーバジルも、地域の方々の協力を得て、毎年生産量を増やし、今では15000本以上を育てています。

農地も増え、手伝ってくださる方も増えたことで、町からは法人化を勧められ、合同会社「結舎(むすびや)」を設立しました。そんな折出会ったのが特殊な真空乾燥機を作っておられる会社の社長さんでした。丁寧なアドバイスを頂き、今年から全く新しい商品を作り出せる様になりました。まるで後押しされるかのごとく繋がっていく人脈。それはあらかじめ決まっていた流れのように感じます。

池田町の本質とは?

池田町に移住して7年目。すっかり池田の人になった杉さんは、池田町についてこう話されました。「私如きがおこがましいですけど、実直で余計の物を必要としない。つまり、池田町は本物を作れる所なんです。先人が守って繋いでくれた大切な自然を、私達も次に繋いでいかなければなりません。畑って作物を作る前に、土を育てなければなりません。微生物が豊富になれば、作物は元気に育ちます。まだまだ学ばなければならない事だらけです。これからの若い人が農業や林業に携わっていける、魅力のある場所に出来たら良いですね。まずは、私も魅力のある人にならないとね(笑)」。
【福井県池田町】ホーリーバジルが紡いだ人の縁/杉茂樹さん

ホーリーバジルが繋いだ人・モノ・コト。効能の有無はわからないけど、杉さんの屈託のない笑顔に、やっぱりこの場所は生命エネルギーに満ち満ちているんだろうな、きっとこのエネルギーは下流に伝わって、元気な町になっていくんだろうな、と思わずにはいられません。