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「マイルーツ、マイ山形」#3 冬を越える

地域情報
2026.01.22

私が住んでいた場所は、蔵王まで車で数十分の距離。雪国ならではの遊びをいろいろ経験しました。

「マイルーツ、マイ山形」#3 冬を越える

瀧山の氷瀑。

「マイルーツ、マイ山形」#3 冬を越える

静かな雪の上を、スノーシューでざあーっざあーっと歩くのが気持ちよかったです。

「マイルーツ、マイ山形」#3 冬を越える

蔵王といえば樹氷。スノーモンスターと呼ばれる所以。

「マイルーツ、マイ山形」#3 冬を越える

それでも昨今は、温暖化などの影響で完全な樹氷が出来にくくなっているとのこと。このときも木の幹や葉がけっこう見えている状態でした。

そんな特別な記憶も鮮やかだけど、はじめて経験した雪国の日常も忘れがたいものです。

私の住んでいたアパートの駐車場には、誰でも使っていい雪かき道具が並べて置いてありました。ありがたくそれを使わせてもらって、見よう見まねで雪を退けてみる。最初は、車の周りの雪をきれいにかいていたけど、そこまでする必要がないことをだんだん知りました。きれいにしてもどうせまた降るし、車ならある程度の雪は乗り越えられるから。

山形で暮らす先輩たちは、あたりまえに、それぞれの越冬する術を持っていました。それを横目で見たり、話を聞かせてもらったりして、試行錯誤を重ねた日々。

両手で持って、地面の上を滑らせて雪を退けることができる、ソリのような形の道具もはじめて使いました。スノーダンプという名前らしい。山形ではよく見かけました。

スコップで一回一回すくって退けていたらキリがないから、一旦スノーダンプに雪を積んで、一気にガーっと端に寄せる。逆に、車の上に積もった雪は残さずちゃんときれいにおろさないとだめ。最初の頃、だいたいでいいだろうと思って雪を降ろして車を出したら、ブレーキをかけた時に、車の上に残った雪の塊が、どさっ!とフロントガラスに落ちてきて、目の前が一瞬にして真っ白になって大慌てなんてこともありました。

そんなこんなで、自分の車とそのまわりの雪をどうにかして車を出すと、誰かが出口までの動線をきれいにしてくれていることに気づく。「誰か」の場所ではないけれど、みんなが使わなければいけない場所を、誰かがやってくれたんだ。あたりまえだけど、雪は境なく、すべてを白く覆うから、ここからここまでが自分の雪、というわけにはいかない。自分と自然。自分と他人。そこに明確な境界線は引けない。山形市での暮らしは、自然の大きな動きの中で生きるということの、片鱗に触れることでした。

そんな日々が続いた3月のある日。ふと気配を感じて、部屋の窓の外を見ると、空から降ってきたのは、透明な水でした。数ヶ月間白い雪が降り続いた果てに見た雨は、それはそれは美しかったのです。まだまだ寒いけれど、春がくるのだと、身体中がゆるんで、冬眠モードが解除されていくような気持ちでした。

厳しい冬を越えたから感じる、色づく世界の美しさや、人のあたたかさ。あのとき感じた春がくるよろこびを、これからもずっと、忘れることはないだろうなあと思います。