移住者インタビュー鎌田浩平さん「東京山形2拠点生活の現在」
東京都内のゲーム制作会社Black Tower Studios の創業者のひとりであり、チーフテクニカルオフィサーとして多数のプログラマーたちとともにゲーム開発に携わる鎌田浩平さんは、東京と山形というふたつの都市を拠点とする2拠点生活者。全国そして海外に散らばっているスタッフたちと、ある日は東京から、ある日は山形から、オンラインでコミュニケーションをとりながら協業を推し進め、まだこの世にない新しいゲームを世界に送りだすというクリエイティブな仕事をしている。
もともと、山形市の生まれ育ち。とはいえ、高校卒業後はずっと東京近辺に暮らしてきた、という鎌田さんが、結婚を機に地元山形へ頻繁に来るようになったのは2021年頃からのこと。ある週は東京にいたり、ある週は山形にいたり。最近は、どちらかというと山形のほうに暮らしの重点があるらしい。
そんな、2拠点ライフについてのお話を、ある日の山形駅で新幹線を待つあいだにお聞きした。

== 東京の暮らしから、東京・山形の2拠点生活へ移行して、仕事ぶりになにか変化はありましたか?
ほとんどありません。ただ、強いて言えば、山形にいるあいだは東京にいるときよりも仕事をしている時間が短いです。山形には家庭があるので、あまり夜遅くまで仕事することはしません。東京にいるときはずっと一人なので、会社から帰宅したあとでも「キリのいいところまでもうちょっとやるか」と、真夜中過ぎまでずっと仕事してしまうなんてことはよくあるので、それに比べるとだいぶ健全という感じがします。
== 結婚を機に2拠点生活がはじまったそうですが、山形に完全移住するとか、東京で一緒に暮らすといった選択肢はなかったのでしょうか。
奥さんは山形で生活している人でしたから、それをやめて東京に移るのは大変だろうと思いました。また、ぼくはどうしてもときどきは東京の事務所にいく必要がありますし、でもどこででも仕事はできるので、ぼくが山形と東京を行き来するのがベストだと思いました。
== 会社がリモートワークできる体制になったのはコロナ禍以降ですか?
それ以前から部分的にやっていましたが、コロナ禍になってからは会社全体としてみんながリモートワークできるようにしよう、と環境を整備しました。いまではスタッフは「出社しない」という選択もできますし、「そもそも東京にいない」という人も少なからずいます。会社から見れば「スタッフが出社するかしないか」はもはや重要ではありません。仕事の内容や給与の設定は一人ひとりまったく違いますし、大事なのは達成すべきマイルストーンに向けて自分のやるべきことをしっかりやっているかどうか。そこさえできていれば、会社はあまり細かいことは言いません。フレックスなので勤務時間も自分で決められますし、リモートワークするかどうかも含めどんなふうに仕事するかはその人次第です。
== 鎌田さんもそのひとりで、山形にいる週は自宅からリモートワークしているわけですね?
ええ。PCがあってネットに繋がれば仕事はできるので、そのときどんな都市にいようが、移動中であろうが、そういうことは基本的にはあまり仕事には関係ないと思っています。
ただ、暮らしそのものの変化は感じます。たとえば食事については、山形にいるときのほうがずっと規則正しいし、安定している、という感じがします。それは山形では奥さんが料理をつくってくれるから、という理由が大きいのですが、おかげで季節の野菜とか旬の食材とか、体に摂り入れるものがだいぶ健康的だと感じます。東京ではひとりの暮らしで、じぶんではまったく料理しないので、食事はだいたいコンビニか外食かテイクアウト。まったく健康的ではないし、だいぶ偏っています。
生活時間も、山形にいるときのほうがだいぶきっちりしています。夜は12時ぐらいには寝て、朝は8時には起きる、というように、自分にしてはだいぶ規則正しい生活です。東京ではもっとルーズで、朝起きるのももっとずっと遅いです。

== 高校卒業後ずっと離れていた山形に暮らすようになって、この土地で再発見した楽しみなどありますか?
東京に比べたら夜涼しくていいな、と思います。エアコンをつけている時間は山形のほうが少ない気がします。あとは、山形暮らしをはじめてから車の運転をするようになったので、車で移動することが増えました。美味しいものや好きなものを食べに自分でドライブして行く、というのは新しい楽しみだと思います。
人との付き合いも増えました。東京では会社と家の往復生活で、外に飲みに行くこともないし、会社以外の人と新たに知り合うということがほとんどありません。ゲーム業界以外の知り合いはほとんどいない、と言っていいくらいです。でも、山形暮らしをするようになってからは、奥さんといっしょに外に出ることが増えたからか、社会性が高まりました。ゲーム業界とは無縁の、まったく違う世界の人たちとの新しい出会いに恵まれたこと。それがぼくの山形暮らしのいちばんの新鮮味かもしれません。
Text & Photo by 那須ミノル














