やまがた子育て日記/1歳
息子は新緑の季節に1歳を迎えた。
昨年の夏は里帰り出産の延長でまだ実家の埼玉に居たので、今年の夏は家族3人がやまがたで過ごす初めての夏になった。
少しずつ、息子は歩き始めた。けれど私は夏の暑さがとにかく苦手で夏は極力外に出たくないタイプなので、せっかく歩き始めたとはいえ息子と外に出るのは億劫だったし、夏らしい事も今まであまり積極的にしてこなかったので、この夏をどう過ごして良いか正直分からないし不安だった。
けれどそんな不安とは裏腹に、今年の夏は息子のおかげでやまがたの夏を充分にエンジョイすることになった。
夏を楽しくさせてくれたのは、まず、やまがたの食べ物だ。たまたま今年はさくらんぼ、トウモロコシ、スイカ、枝豆……と旬の作物を知人からいただく機会があった。いつもなら、トウモロコシも枝豆も自分で茹でるのは面倒くさいなと思うのだけど、今年は息子に旬のものを食べさせてあげたいと思ったので自分で茹でて調理してみた。そうしたらびっくりおいしい。やまがたにはもう10年暮らしていて、お店ではそれなりに旬の食べ物を食べてきたつもりだったけど、自分で調理したものは出来立てで、味が濃くて、すごく美味しく感じた。息子も特に枝豆は気に入ってひと粒ひと粒つまんでは、器用にぱくぱく食べていた。はまってしまった私は、スーパーの店頭から旬の枝豆やトウモロコシが売り出されなくなるまで買っては茹でて毎日食べた。
また今年は、イベントにも参加しようと、花笠祭りや山形市内の花火大会へ行ってみた。 正直、お祭りも花火大会もあまり楽しめるほうではなくて、「人が多くて嫌だな…」とか「道が混んでて嫌だな…」とかそんなことばかり考えてしまって、大人になってから積極的に楽しむことをしてこなかった。でも、息子に初めてのお祭りと花火を感じてもらいたくて、重い腰をあげて夫と3人で出かけてみたのだ。いざ向かうと、たくさんの人に圧倒されながらも、お祭りの屋台のキラキラや花火に目を輝かせて笑顔になっている息子を見たら、なんだかとても嬉しくなって、一人だと楽しめないことも楽しそうな人と一緒にいると楽しめるのだなと気付いた。花火大会の帰り道、少し早めに会場を離れると、息子は帰る事を察して大泣きしていた。
今年一番困ったのは、暑い日の外でのお散歩だったけれど、それもそれなりに楽しんだ。 8月は、午前中にもかかわらず既に30度ある日が多かった。日陰を探して歩いたり、コンビニやお店に入ったりしながら散歩していると、息子が「おっ!」と指さした先に風鈴があった。その風鈴はいつも散歩するときに通る道の理髪店の店先に3つ掛けられていて、私たちは立ち止まってチリンチリーンや、きらきらきらーと風に揺られて涼しげな音を奏でる風鈴の音を楽しんだ。人生でこんなに風鈴の音に意識を向けて耳を澄ませたことがあっただろうか、と思った。
息子がいなかったら真夏に散歩もしなかったし、息子に教えてもらわなかったら風鈴には気が付かなかっただろう。息子はいつも色々なものに興味津々で、いろんな事に気付いては、私たち家族に教えてくれるのだ。
息子が生まれてから、できる限りイベントごとには本気で楽しく取り組もうと思って過ごしてきた。そのおかげで、日々の暮らしもなんだか前向きになっているような気がする。相変わらず、夜間授乳や夜泣きで寝不足だったり、イヤイヤ期の訪れによってますます大変でバタバタな毎日だけど、この猛暑を楽しく乗り切れたことが私の自信になって、また日々の生活を頑張れそうな気がしている。