real local 山形「マイルーツ、マイ山形」#4 山形を聴く | reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【地域情報】

「マイルーツ、マイ山形」#4 山形を聴く

地域情報
2026.03.04

「マイルーツ、マイ山形」#4 山形を聴く

私はポッドキャストを聴くのが好きです。毎日、料理や仕事をしながら、すきあらば、聴いています。

ある日、「山形のことを語ってる番組ってあるのかしら?」となんとなく気になり、「山形」と検索してみると、東北芸術工科大学(芸工大)の文芸学科の先生たちが配信している「文芸ラジオ」という番組に辿り着きました。これは、自分ナイス検索!と思いながら昔の回から聴いていく。文芸の話、山形の話。山形の空気が、今の私の生活に流れ込んでくるようで、うれしく、楽しく聴きました。最新回の話題は「芸工大の卒展」。文芸学科の4年生たちがゲストで出演して、卒業制作について喋っているのを聴いていたら、ふと、懐かしい記憶がよみがえりました。

山形にいた頃、毎年2月におこなわれる芸工大の卒展を楽しみにしていました。豊かな自然に囲まれた広大な敷地にあるキャンパスを贅沢に使った展示。都内の美大の卒展と比べて、子どもからお年寄りの方まで幅広い客層で賑わっているのが印象的で、地域の人たちにとっても、身近な大学であることがとても伝わってきました。

中でも、わたしが好きだったのが、文芸学科の展示だったのです。

文芸学科の展示スペースは、他学科の展示と比べると、わりと落ち着いた雰囲気。作品展示があったり、実際に本になっている作品を読めたり。展示って、集中して見て歩き回るからけっこう疲れる。だから、ひとしきり見て回った後に、休憩がてら文芸学科の展示スペースに陣取って作品を読む時間が好きでした。

今でも忘れられないのが、『田んぼでロリィタ』というコラム。ロリィタを愛する筆者が、大学入学を機に移住した山形で、ロリィタファッションで生活をおくる日々が綴られています。筆者の熱量と「好き」がほとばしっている表紙がまず、最高。そして文章も、最高。ロリィタ姿の彼女が、ラーメン屋でラーメンを啜り、山形の野生の虫と対峙している姿が、ありありと目に浮かんできます。

どこへ行こうが、好きなものを好きだと言って、好きなようにやる。筆者の姿をまぶしく感じると同時に、わたしも自分の「好き」を信じてみたいと思える、そんな作品でした。

迷わず購入し、今でも私の本棚の中で異彩を放っています。

「マイルーツ、マイ山形」#4 山形を聴く
我が家にある『田んぼでロリィタ』

そもそも、美大の中にある文芸学科って、きっとめずらしい。わたしもかつて音大で演劇を専攻していて、大学の中ではマイナーな場所にいました。でも、そんな環境だったからこそ出会えた生き方や価値観があって、そこで受け取ったものは、自分の創作に直結していました。芸工大の文芸学科の学生の方たちもそんなふうに創作に向き合ってきたのかもしれないな、と感じられて、なんだか懐かしく、自分を重ね合わせて見ていたのだと思います。

自分の「好き」を携えて、どんな場所にも飛び込んでみる。そして、飛び込んだ先にしかない出会いを、楽しみながら生きていく。芸工大の卒展から、「田んぼでロリィタ」から、改めて私が教えてもらったことです。

そんなことを、たまたま見つけた「文芸ラジオ」から、久しぶりに、思い出したのでした。

 
「文芸ラジオ」おすすめの回