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【山形/連載】地域密着型スーパー〈エンドー〉へようこそ Vol.11

連載

2023.12.28

山形市長町にある〈エンドー〉は、地域密着型のスーパーである。創業は昭和40年。以来、地元の人々に親しまれ続け、日々、さまざまな顔が集う。そこにある時間と、ここにしかない風景。今日のエンドーでは、どんなことに出会えるだろうか。

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お客さんに聞いてみた。
今日はエンドーへ何をしに?

エンドーにはいろいろなお客さんがやってくる。それは曜日や時間帯によって、目的が異なるからだ。この店は、スーパーでありながら、ある人にとっては食堂であり、また居酒屋であり、ある人にとっては駄菓子屋で当てくじができる場所でもある。ゆえに、お客さんは性別問わず年齢もさまざま。週末になると、ここを目がけて遠方からやってくる人も多い。地域密着型スーパーでありながら、山形のローカルスーパーとしても確実に目的地化しつつあるエンドー。今回フォーカスするのは「お客さん」。ある土曜日の午後、エンドーを訪れる人たちに話を聞いた。

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今回はお客さんがテーマとあって貼り紙を設置。“取材中”の文字を書いてくれたのは店主・英則さん。大胆にも“営業中”の看板に「こうしたらいいべ」と設置してくれたのは、エンドーのじいちゃんこと英弥さん。

何度か店を訪れていると、決まった時間に決まった顔、というのがちょっとだけわかってくる。夕方前ぐらいには、「エンドー女子会」のメンバーでもお馴染みの常連さんが買い物かごをぶら下げて入店。野菜やお惣菜を選んでいると、そこにじいちゃんがやってきて一言、二言。このさりげない接客もエンドーを形成する重要な要素だ。とはいえ、じいちゃんにとってはごく自然にやっていることなのだろう。

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店内を見渡しながら様子をうかがいつつ、絶妙なタイミングで行われるじいちゃんの声かけ。イートインのお客さんには誰かしらが気付いてお茶出し。店内奥の英則さんは魚をさばきながらお客さんと会話。厨房では、女性スタッフの皆さんがげそ天を揚げたりおにぎりを握ったり。店全体を俯瞰して眺めていると、エンドーならではのホスピタリティというものが確実に存在していることがわかる。

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土曜日は、お酒の有無が選べるおつまみセット「宅呑みエンドー(数量限定)」の販売日でもある。毎回中身が変わるので、決まってこれを目当てに買いにくるお客さんも多いとのこと。店主が筆で描くイラスト付きのお品書きを見ていると、なんだか不思議と呑みたくなってくる。モノクロのビジュアルが想像力をかき立てるのだろうか。

この日、エンドーを訪れた3組のお客さんが取材に応じてくれた。そのなかで共通して話題に挙がったのは、魚の品揃えとクオリティについて。過去記事でもふれているが、あらためて根強いファンが多いことを実感。さらには手づくりの惣菜。「エンドーのげそ天」はもちろん、それだけではない魅力がたくさんあるということもお客さんが語ってくれた。

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毎回中身が変わる「宅呑みエンドー」のイラストお品書き。エンドーの壁にはこれまでのメニューがびっしり貼られている。

−エンドーを訪れたきっかけは何ですか?

げそ天が有名なエンドーさんだけど、最初のきっかけは〈やま幸〉さんのマグロがあるっていうのを聞いてから。やま幸さんっていったら日本一のマグロ仲卸業者で、銀座のお寿司屋さんに入るようなものが多いんですよ。素材が全然違いますよね。だから安くはないけど、この価格でも納得できる。東北でほかに扱ってるところはないみたいだし。今日はマグロとウニを半分ずつ詰め合わせにしてもらいました。

山形って、良い意味で変態的な人が多いですよね(笑)。自分のまわりには週5でエンドーに通ってるなんて人もいて、その人に「ここの筋子はうまいよ」って教えてもらったんです。やっぱりおいしい。全然違うもんね。私、おいしいものには目がないもんだから、あっちこっち行くんですよ。仕事は全然違うんだけど、時には生産者さんのところまで行ったりとかね(菅野さん)

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1組目のお客さん、菅野さんのお買い物はこちら。スーパーでこのクオリティはなかなかお目にかかれない。マグロとウニの詰め合わせ。

―今日はどちらから? どんなものを買いましたか?

天童からなんですけど、よく来させてもらってます。こちらの食材や食べ物がすごくおいしいから行ってみて、って知人に薦められて。いつも買っているのは魚と惣菜。魚はお寿司屋さんレベルだし、手づくりの惣菜も珍しいものが多いんです。煮物とか焼き物とか、いわゆる和の惣菜だけじゃなくて、この前はアヒージョなんていうのもありました。でも定番のポテトサラダもおいしいんですよ。あとは、げそ天だったら「ピンク」が好きです(野口さん)

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2組目のお客さん、野口さんのお買い物はこちら。宅呑みエンドー、刺身の盛り合わせ、カニ、マグロとウニのハーフ&ハーフ丼、そして焼き物。実際にお店に来てみないとわからない商品も多々ある。
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「何にしようかなあ?」と、メニューを眺めるお客さん。げそ天は種類もサイズもいろいろ。
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げそ天とおにぎりは注文用紙に書いて注文するスタイル。厨房の中を覗きたくなる気持ち、とってもわかる。

−エンドーにはよく来られるんですか?

買い物はもちろん「立呑みエンドー」はほぼ毎回参加していて、私たち家族にとって恒例のイベントになりつつあります。うち以外にも家族連れのお客さんがいるので、子ども同士でも遊んだりしていて、立呑みエンドーのときに会える「エンドー仲間」みたいな人たちがいるのも楽しいんです。今日はみんなでげそ天とごはんを食べにきました(須田早紀さん)

子どもたちと一緒に来れるのはありがたいですね。駄菓子コーナーがあって当てくじもできるから、大人がちょっと呑んでるあいだに子どもたちはそっちで遊んでいられるから。あとはげそ天。子どもたちも好きなのでよく頼むんですけど、エンドーさんって魚もすごくおいしいんですよね。新鮮でおいしい刺身が買えるところってそんなに多くないから貴重です(須田拓郎さん)

たしかにそうかも。うちの子どもたち、エンドーさんでどんどんおいしいものを覚えちゃってますね(笑)。それと、私が買い物するときによく利用しているのはお惣菜です。子どもたちにあと1品おかず食べさせたいってときに、たとえばカニクリームコロッケを買ったりとか。これだけ買いたいって思ったときに必要なものがほどよく揃っているので助かっています(早紀さん)

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取材に応じてくれた3組目のお客さん、須田さんファミリー(右から、拓郎さん、早紀さん、百花さん、杏花さん)。おにぎりにパクつくめんごい姉妹。げそ天はピンク、ブラック、塩レモンをチョイス。
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おにぎり食べて、とってもいい顔。ちなみにエンドーのおにぎり、12月にリニューアルしたそう。

夕方になりすっかり日も暮れてくると、店内ではお酒を楽しむお客さんたちが増えてきた。ビール片手にひとり呑みを楽しむお兄さん。小サイズのげそ天のいろんな味を食べ比べしている女性グループ。エンドーで待ち合わせしていた2人組のおじさんは、惣菜をつまみに日本酒を呑んでいる。

同じ時間でも、平日になれば仕事帰りの人たちがやってきて、買い物をしたり一杯やったりしながら思い思いに過ごすのだろう。あらゆる人たちにとっての居場所であり、時間の流れが交差することで生まれるこの店ならではの居心地と風景。訪れるお客さん、お店で働く人や取引先や生産者の人たち、ユーモアに溢れたデザインとイラストを手がけるふたり、じいちゃんにばあちゃんに子どもたち、家族みんな。エンドーにかかわるすべての人が、それらの一部になっているはずだ。

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げそ天に合うクラフトビール「ゲソIPA」とともに、「げそ天呑み」で盛り上がるテーブル。冷めてもおいしいけれど、揚げたては格別だ。
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イートインスペースで見かけた「予約席」の札。こんなシステムもあるらしい。週末の混み合う日など、待ち合わせで利用したいときに活用してみては。
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「こうして持ってみっか?」と、ものすごく協力的でメディアフレンドリーなじいちゃん。いつも楽しい取材をありがとうございます。

DATA
エンドー
住所 山形県山形市長町2-1-33
電話番号 023-681-7711
営業時間 10:00-19:00(日・月曜休)
https://gesoten.jp/

写真:伊藤美香子
文:井上春香