real local 大阪100年残るブランドに|クレープえんどう - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

100年残るブランドに|クレープえんどう

インタビュー
2025.11.29

みなさん、古くなった建物に新たな使い手が命を吹き込むところを見たことはありますか?

JR阪和線・南田辺の駅前に今秋オープンした「クレープ喫茶えんどう」。長く純喫茶として佇んできた建物を引き継いだそのお店には、平日もオープン前から行列が。誰もが虜になってしまう「クレープえんどう」ブランドのパワフルな魅力と、建物のキャッチーな愛らしさ。その素敵な相乗効果について語らせてください。

100年残るブランドに|クレープえんどう
絵本の中から飛び出してきたみたい。
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ぽかぽかとしたあたたかみに、思わず吸い込まれてしまう。

強い地盤の古い建物

――寺田町と阿倍野にお店を構える「クレープえんどう」さんですが、国内3店舗目を南田辺のこちらにした決め手はなんだったのでしょう。

実は、この建物は2号店のテナントを探していたときからずっと目をつけていて。その時は南田辺でお店をやるというイメージがまだ持てなくて見送っていたんですが、古い建物でやりたいという気持ちがずっとあったので、賃料が少し下がったのを見て、いっちゃえ!と。

宮城出身なので、地震が来ても津波が来ない地盤が強いところが良かったのと、仙台から大阪に引っ越してきた時に古い街並みが残っているのに感動したので、「強い地盤の上に建っている古い建物」でお店ができたら面白いなって思って探していました。

――テナント探しで地盤の強さを第一に考えている人って珍しい気がします。

そう、地盤で(笑) あと、ちょっとローカルな下町が好きなので。

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お店は南田辺の駅から徒歩2分。ノスタルジー誘う商店街だが、以前来た時よりお店も増え、活気づいたように感じた。
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旅行先でも古い商店街を回るのが学生時代から好きだったと言う、「クレープえんどう」店主の遠藤桃華さん。大学の卒業論文は台湾のリノベーションカフェについて書いたんだとか。  

100年残る建物と、100年残るブランドに

この建物がすでに50年残っているとして、このレンガとかがあと50年後には”100年後のレンガ”になるって思ったら、すごくわくわくします。建物も「クレープえんどう」というブランドも一緒で、100年残るブランドにしたいし、だから100年残る建物と一緒に頑張ろうって思っています。

――なるほど…!100年残ろうと思ったら、地盤の強い建物が必要ですよね。

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純喫茶時代の内装をそのまま引き継いだレンガ。テナント募集時の記事はこちら→【大阪R不動産】愛すべき喫茶空間。

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前に、すごく雰囲気の良い純喫茶が閉店された後、元の内装がゼロになっちゃったのを見たことがあって。それがすごく悔しかったんです。自分にお金があったら、保存活動じゃないけど、引き継ぐことができるじゃないですか。今はまだ力が足りてないけど、そういうのを保存できたら、それは自分の幸せだなと思います。

――立場はちょっと違いますけど、分かります。残って欲しいけど使われていない古い建物があったら、大阪R不動産というサイトがその建物の建て壊しを阻止できるような力に少しでもなれたらという気持ちで紹介しますし、それを活用してくれる人を見つけられたらすごく嬉しいんです。

でも、そういうのって「まちのため」とかって言いたくなりますけど、「自分の幸せ」と言えるのが素敵だなと思います。

はは(笑)自分のやりたいことが、最終的にまちのためにもなったらいいですよね。

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テイクアウトもできる注文カウンター。まちに馴染み、まちの人に愛される存在になるためのこだわりの一つだと言う。

まちに愛されるお店になるためにも、新しい複合施設に入るより、まちに根づいた、古い建物でお店をやりたいという思いがあります。

古い建物は内装工事のハードルは高いですけどね。それはもう大工さんたちが頑張ってくれて。

――建物にパワーをもらうみたいなイメージもあるんですか?

いや、あります。家も古いところに住んでいて、ここを借りたら仕事が捗るなって。

あと、近所の神社に樹齢800年という御神木があるんですけど、その木を見ながら、私たちもまずは100年を目指して頑張ろうってスタッフみんなで決起会をしたり。

古いものって、大事にされてきたから残っているわけで、これからも残る意味があると思います。建物とか木とか、長く残っているものからもらうパワーはありますね。

――なるほど。スタッフ皆さんで決起会ができるのも、クレープえんどうさんの素敵なところですね。

味も雰囲気も好きで入ってきてくれた、元常連さんが多いんですよ。(スタッフさんを見て)ね。追っかけてきたんだよね(笑)

 

「味と愛」

――オープンから2年が経つ寺田町のお店にも行列ができていますよね。飽きさせない秘訣はなんなのでしょうか?

自分たちが一番大事にしているのは、「味と愛」ってよく言っていて。ちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。

美味しいものを出すっていうのは大前提で、愛を持ってお客様とクレープとまちに接していくことで、クレープえんどうのクレープを食べたい、って思ってもらえるようなブランドを作るっていう目標があります。ただ美味しいだけとかただ安いだけとかだと、100年続くっていうイメージが湧かないけど、その地域のクレープといえばえんどう、って思ってもらえるような存在になりたいです。

妊婦さんの時から通ってくれていたお客さんがお子さんの写真を見せてくれたことがあって。そうやって100年続いていけばいいなと思っています。

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キュートな絵が飾られていました。

きたー!って思ってほしい

3年以内には地元の仙台にお店を出したいんですけど、どうやったら宮城に出店して皆に喜んでもらえるかって考えた時に、やっぱりもっと強くブランドを磨かなきゃいけないなって思います。それまでもうちょっと力をつけようねってスタッフたちと話しています。「あの人気店が、やっときたー!」って思ってほしい。

――6月にシンガポールにもお店をオープンされたんですよね。私の感覚では、そっちの方がハードルが高いように思うんですが、そんなことないんですか。

えー、そうですか。もちろん全部100%で取り組んでいてシンガポールの人にも喜んでもらいたいんですけど、仙台の人に喜んでもらいたいという感覚とはまたちょっと違うんです。

というのも、シンガポールでの出店のオファーをいただいた時に、実際に現地でクレープを食べてみたんですけど、これを日本クレープだと思われたらクレープが可哀想だと思って。これは、クレープえんどうを海外でやってみたいと思ったんです。

ガレットはフランス発祥だけど、ハンドクレープは日本の文化なんですよ。もっと美味しい日本のクレープを知ってほしい。

あと、メニューにずんだがあるんですけど、海外の人がずんだって何?ってなった時に宮城にたどり着くじゃないですか。クレープも、ずんだも、宮城のことも、世界で知ってもらいたいです。

だから、来年は一気にお店が増えると思います。実は、アジアのいろんな国でお話が進んでいます。

――本当ですか!すごいですね。

まだ具体的には全然決まっていないですけど。そうやってどんどん海外で力をつけて、仙台に行きたいです。

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初めて来た人ならきっとどうしても頼んでしまう、「ずんだ生クリーム」。生クリームとずんだがたっぷりで、お腹も心も満たされます。他にもメニューが多彩なので色々欲張りたくなります。

 

ただクレープが好きなだけ

――クレープ屋になることや、独立することを考えたのはいつ頃だったんでしょうか?

地元の石巻が被災して、仙台に引越した時に、それまでお祭りの屋台で食べられるだけだった大好物のクレープを毎日食べられる環境になったんです。その頃転校とかいろんな環境が変わった中で、クレープが心の拠り所になってくれていて。絶対にクレープ屋になりたいという夢はずっと昔からありました。クレープえんどうも誰かにとっての拠り所になれたらと思っています。

独立に関しては、「26歳で独立」という目標を持っていました。26という数字に根拠は無くて、結果的には2年も早く独立することにはなったんですが(笑)

次の目標は、「30歳までに仙台と東京にお店を持つ」。クレープえんどうのためにやり切ったなと思える20代にしたいです。

いつまでも現場には立っていたいですけど、30代は、その中で店舗の店長たちやスタッフたちが、もっと活躍できる場所にしていきたい。もしかしたら、子育てに近い感覚かもしれないです。

――休みなく働かれている印象ですが、ワークライフバランスの意識とかってあるんでしょうか。

うーん。仕事してるって感覚があんまりないんです。

ただクレープが好きなだけで、クレープを焼くのも好きだし、接客も好きだし、物件を探すのも好きだし…、絵の展覧会とかも好きですけど、結局はお店に置いたりとか。大阪R不動産も毎日見てます(笑)

――嬉しいです!ありがとうございます。趣味が全部クレープ屋に終着するんですね。

そうですね。ただ最近、肋骨が疲労骨折してしまって、だから今肋骨だけが弱点なんです(笑)

――え!?本当に、お大事にしてください。

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一貫してクレープと地元・宮城のことを考えている遠藤さん。これほどまでに一貫した思いがあり、それを表現できる人は一体どれくらいいるのでしょうか。「味と愛」にこだわったクレープを食べに、下町散歩に出掛けてみるのはいかがでしょう。

「クレープえんどう 寺田町本店」 大阪府大阪市阿倍野区天王寺町北2丁目5−1

「クレープとお菓子えんどう 阿倍野店」 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋3丁目8−11

「クレープ喫茶えんどう 南田辺店」 大阪府大阪市東住吉区山坂2丁目5−13 玄気工房 花谷

屋号

クレープ喫茶えんどう 南田辺店

URL

https://www.crepe-endo.com/

https://www.instagram.com/crepe_endo?igshid=MjEwN2IyYWYwYw%3D%3D

住所

〒546-0035 大阪府大阪市東住吉区山坂2丁目5−13 玄気工房 花谷