real local 山形【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【店】

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」

2025.11.25

あぁ、なぜこんなにもワインは美味しいのかしら。なぜこんなにも美味しいワインがこの山形に恵まれているのかしら。なぜワインが美味しく飲めるお店がこんなにもたくさんあるのかしら。そしてなぜワインに携わる人たちはこんなにも魅力的なのかしら……。そんな熱いため息ばかりが洩れてしまう素敵な山形ワインライフを、呟きのように綴っていきます。一度東京に出て、いろいろな地域に行って、Uターンして、山形の魅力がわかってきた今だからこそ、お伝えできそうな気がして。

赤ちょうちんが呼んでる夜に。

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
赤ちょうちんとのれんの感じがたまらないお店がまえ。もう入る前から期待値がぐっと上がっちゃう。

今回お邪魔したのは、山形で知らない人はいないんじゃないかというやきとりの老舗名店「やきとりそね田」さん。2年前に息子の一斗(いちと)さんが帰ってきて、一斗さんのお料理とワインが加わり、これまでの老舗名店+若い人の感性が合わさって、さらにグレードアップしたお店。昭和の香りぷんぷんで、ビールが似合う店。なのに、ここでワインが飲めるって最高すぎない?今夜も全力で酔っぱらいながら取材しちゃうわよ。

予約不可、行列必須の名店。
焼き鳥じゃないの、「やきとり」よ。

のれんをくぐりぬけて店内に入ると、お母さんの元気な「いらっしゃい!」って声に、思わずこっちも「おじゃましまーす!」って返しちゃう。そう、この温度。焼き鳥の煙と人のぬくもりが混ざるこの感じ、たまらないのよねぇ。19時に行ったから、まぁ入れないだろうなぁと思いつつ、「でもワンチャンあるかも?」なんて期待しながら突撃。結果…20分待って、奇跡の入店!この時点でビールがもうご褒美よ(笑)。

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
見よこのお品書き。これは間違いなく、「とりビー!(とりあえずビール)」でしょ(笑)。※8月中旬取材

お通しは、山形名物ダシと蕎麦の実。暑い日にぴったりすぎるお通しとビールでまずはHPを回復。このお店は昭和中期にOPENした老舗で、先々代が創業し、現在は 3代目のご主人 とその 奥様、さらに 4代目となる息子さん の3人で切り盛りしているの。店名は「やきとり」だが、実際には 豚のモツ(やきとん)がメイン。山形では鶏より豚モツを使うやきとり文化が根づいているらしいわ。

イケメン4代目、一斗さん登場!

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
やきとりは、「おまかせ」と言って、お腹がいっぱいになったらストップスタイル。4代目の一斗さん

4代目の一斗(いちと)さんはこのスナックかほりの第一回目で取材した「プルピエ」さん出身。山形のワインシーンを語るうえで、一斗くんの名前を外すわけにはいかないのよ。
プルピエの初期メンバーとして、あの頃からずっとワインラバーを増やしてきた立役者。
そして今は、やきとり片手にワインを語らせたら右に出る者なし。ほんと頼もしいわ。そんな一斗さんはお料理もサービスも担当。やきとりを焼いて、お料理も作って、ワインも選んでと大忙し。老舗のDNAに若い感性をミックスして、そね田を新しいステージに引き上げてるの。

焼き野菜が教えてくれる、四季のうつろい。

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
料理名:青ナス(左)。薄旨の赤ワインにぴったりよ。

こちらのお店では、やきとりの他に焼き野菜のお品書き。この焼き野菜は、寒河江市の「おひさま農園」さんのお野菜を炭火でじっくり。「やきとり屋でも季節を感じてほしい」っていう一斗さんの想いが詰まってるの。炭火でじゅわっと焼かれる青ナスの香ばしい匂い。その瞬間に薄旨の赤ワインをひと口…あぁもう、罪。美味しすぎて罪。。お肉だけじゃなくて、お野菜もモリモリ食べたい!!という私のような健康意識の高い女性には最適すぎるメニューよ。

ちなみにグラスワインは常時数種類。ワインはグラスで頼んでいただくことが多いので、ガチガチのペアリングではなく、いたってシンプルなワインを選んでいるそう。やきとりがシンプルだから、ワインもシンプルなものにしている。

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
グラスワインも豊富。グレープリパブリックの「デラフレスカ2024」はねぎまの串に合うそうよ(左)。

やきとりでワインが身近に。

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
薄旨の赤ワインは、塩にもタレにも合うのよ。

やっぱりワインって敷居が高いじゃない。私もワイナリーで働く前は、ワインって本当に何を選んでいいかわからない、安くてごくごく飲めればOKくらいのテンションだったんだけど、何を誰とどこで食べるかで全然違くて、その選択肢の幅の広さがワインのいいところだと思うのよ。

今回、一斗さんがやきとりに合わせてチョイスしてくれたのは、オーストリアのツヴァイゲルトという品種の赤ワイン。この薄旨の赤、もう反則級よ。塩の串でもタレでも、どっちでも抱きしめてくれるような優しさなの。軽やかな赤ワインの香りと、ふっと鼻に抜ける炭の匂いが、もう一杯どう?って誘ってくるから、ついつい飲んでしまうわ。

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
目の前で焼いてくれるLIVE感が最高。常連さんも初見さんも自然と仲良くなってしまうカウンター。

“ワイン酒場”じゃなく、“やきとり酒場”にワインがある。

そんな一斗さんの目指す先は、肩ひじ張らずにワインも飲める酒場。ワイン問わず、やきとり、料理、そして何よりお店の空気感を楽しんでもらう。人もワインも一期一会なので、この酒場のその瞬間の空気感を楽しんでもらいたい、とのこと。そね田さんで意気投合して、そのまま2軒目に・・・なんてことも稀じゃないそう。カウンター同士、そしてスタッフさんとの距離感が近いそね田さんだからこその魅力ね。

【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
この昭和感満載の店内の雰囲気が最高。あえてBGMはなく、お客さんとスタッフの皆さんのやり取りがBGM。
【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.6「やきとりそね田」
お母さん、お父さん、一斗さんの3ショット。写真が大の苦手のお父さんが笑ってくれた奇跡のショット!

見てよこのご家族。イケメン息子に、美人のお母さん、渋くて優しいお父さん。この3人の空気感がね、もう“家族っていいなぁ”ってしみじみさせるのよ。お酒も肴も最高だけど、この家族の温もりこそが一番の“味”だと思うわ。

家族の温もりと、昭和の人情、そして炭火の香り。そね田さんって、ただの飲み屋じゃないの。“帰ってきた”って感じさせてくれるのよ。疲れた夜にふらっと寄って、お母さんの「いらっしゃい」って声を聞いて、お父さんと一斗くんの焼く串を眺めながらグラスを傾ける。…気づけば、心がぽかぽかしてる。そんなお店、そうそうないわ。そね田さんは、きっとあなたの“もう一つの家”になるはずよ。

■やきとり そね田
https://tabelog.com/yamagata/A0601/A060101/6004772/

■yakitori0805
https://www.instagram.com/yakitori0805/